東京大学先端科学技術研究センター教授の西成活裕氏

 デジタル計算機の死角についてお話してきましたが、そもそも計算機にかけちゃうというのは、非線形だからですね。非線形って我々はなかなか解けないので、計算機にかけちゃって、あるいは線形化して解いちゃうわけです。

 皆さんが今乗っている飛行機だってそうですよ。線形化して、例えば突風が吹いたら、突風の応答を計算するわけです。だから本当に非線形問題を正面から解いているというのは少ないんです。

 線形なら、我々はフーリエ変換という素晴らしい武器を持っています。だけど、非線形には、かつてそういう武器がなかなかなかった。だから、非線形を正面から扱わずに、線形で近似してきたわけです。しかし、デジタル計算機の死角のところでお話ししたように、非線形を線形に近似して扱うと限界があるんです。だから、それをちゃんとやろうというのが、今、私が提案していることです。