東京大学先端科学技術研究センター教授の西成活裕氏

 数学を武器にしたい技術者の方にお勧めなのが、ここに挙げた8つです(スライド1)。実はこれら、理系の皆さんなら大学で全部習っています。というか、私も実際、これらの全てを大学で教えています。大学でやっているはずなんです。やっていることが、残念ながら商品開発に生かされていない。本当にもったいないと思いますよ。しかも私の場合、これらを使って共同研究で商売していますから。商売というか、アドバイスしていますから。商品開発に生かせるはずなんです。

スライド1
[画像のクリックで拡大表示]

 これら8つが、私が思っている中で使える、あるいはこれまで本当に企業の方と一緒に使ってきた武器です。いちいち細かくは言いませんけど…。中でも、大事なのはやはり1番ですね。微分とか…。そういう方程式の考え方は、モデル化に使えます。それから7番、8番ですね。確率統計とか非線形数学、この辺が私が一番の武器としているところです。そういったところの応用が非常に大事なんです。

 後、もう1つ言いたいのは、数学ができる人は実は結構いるんですが、同時に物理あるいは力学ができる人が少ない。「ものづくり」って力学がすごく大事なんです。数学と力学が結び付いた能力、これがすごくものづくりには大事だと私は思っています。