仕様から要素への展開表を管理

 国内ベンダーの富士通、NEC、図研も、後者のアプローチに近い。富士通のPLMツール「PLEMIA」では、「製品へのニーズ」から「機能」への展開表、「機能」から「構造」への展開表などを管理する。設計中に、例えばメカの「構造」に変更があったとき、それは何の「機能」に関連するものか、どの「ニーズ」を満たすためのものかが分かる。その「ニーズ」にエレキ、ソフトが関わっている場合、メカの変更がどう影響するかを効率的にチェックできる。同じ目的の機能は、NECのPLMツール「Obbligato III」にもある。

 図研のPLMツール「PreSight」は、設計部品表(EBOM)と製造部品表(MBOM)を一括して扱うツール「BOM Producer」と、プロジェクト管理ツール「Project Conductor」から構成される。このうちBOM Producerでは、設計開発段階でのEBOMの利用促進を主眼として開発した。2009年にクラステクノロジー(本社東京)から買収した技術を組み合わせている。

 BOM Producer は3D-CAD「CATIA V5」と連動し、CATIAで作成中の設計情報はデータ管理機能に登録する際、並行してBOM Producerにも送り込める。つまり、その時点での設計BOMが自動的にできるため、これを用いるコスト・シミュレーションなどが可能になる。

 EBOMは通常、設計確定後に設計部門から製造部門への情報移転のために作成するものという側面が強い。しかし設計者自身がコスト検討などに利用するのは容易ではなかった。BOM Producerでは、製品構成や部品の内容について変更の余地がまだ大きい段階からコストの把握が可能になる。