メカ、エレキ、ソフトを統合管理

 近年のツール開発の動向として第1に挙げられるのは、機械(メカ)部分に限らず電気(エレキ)部分やソフトウエアに関するデータも管理するようになったことだ。メカ、エレキ、ソフトの情報を連携させ、構想設計段階における製品の性能・機能の造り込みの支援を強化する。

 そのためのアプリケーション機能の拡充には2つのアプローチがある。その1つは、いわゆる1次元シミュレーションにより、メカ、エレキ、ソフトが関連するシステムの振る舞いを数式で表現して検証すること。もう1つは、製品の要求仕様とメカ、エレキ、ソフトの要素を相互に関係付けて、製品全体のコスト評価や、設計における擦り合わせの影響範囲の特定を容易にすることである。

 前者のアプローチでは、例えば仏Dassault Systemes社は1次元シミュレータ「Dymola」をデータ管理ツール「ENOVIA」を中心とするPLMツール群の一環としている。米Siemens PLM Software社も1次元シミュレータ「LMS Imagine.Lab AMESim」をPLMツール群「Teamcenter」に組み込んだ。両社とも、これらのツールを企業買収によって手に入れた。

 後者のアプローチの例としては、米PTC社が要件管理や変更管理に強いソフト開発ツール「Integrity」を2011年に企業買収により取得。PLMツール群「PTC Windchill」にもともと備わる機能を補完させる形で、設計要件とメカ、エレキ、ソフトそれぞれの要素との関係を管理する。どれか要素の変更がどこに及ぶか、影響範囲を容易に特定できるようにする。