ソフトもハードも、海外IT企業に握られたら…

 この自動運転車を取り巻く複雑な状況に比べると、テーマサイト「クルマ」でアクセス数3位だった「ターボチャージャー」に関する記事「ターボチャージャー、エコの悪役が切り札に変身」で紹介した内容は、製造業にとって分かりやすい構図かもしれません。

 ここでも日本メーカーは「チャレンジャー」です。記事を執筆した日経ビジネスの広岡延隆記者は「燃費の悪いスポーツカーの代名詞だったターボチャージャー。だが、小型エンジンを強力にできるターボチャージャーは、今やエコカーの切り札に大変身した」と紹介しています。欧州でディーゼルエンジン向けに受け入れられたことをキッカケに再び注目を集めたこの技術。日本メーカーもシェア3位グループに食い込み、さらに上位を目指す技術開発を進めています。

 自動運転の技術を確立しようとするGoogle社の動向に比べると、目指す技術提供のカタチと収益化の道筋はハッキリとした印象です。

 世の中、「分からないこと」ほど不安なことはありません。清水記者の記事中でトヨタの幹部がGoogle社の自動運転技術を「極めて優れた技術」と語っていることを受けて、Tech-On!の読者は以下のようなコメントを寄せています。

車両メーカーの製品に後付けで、車両メーカーがかなりの完成度と言ってしまうのですから、IT企業が自社ソフトに合わせた車両を手がける前に、二の足を踏んでいないで開発を促進する。という戦略も有りかと思います。 ソフトもハードも、海外IT企業に握られたら、どうなるんでしょう?

 自動運転という、SFの世界の話と思っていた技術が現実味を増している。ただ、その未来チックな話題に技術の夢を感じる一方で、技術開発が行き着く先の将来像を従来の枠組みでは理解しにくい印象が強い。この「分からないこと」への興味と不安が、自動運転車への大きな関心につながる理由になっているのかもしれません。もちろん、だからこそチャレンジャーとして挑戦しがいがあるわけですけれども。