レビュー結果の問題点を共有する

 XVLによるDRの目的は、問題点をデジタルモデル上で早期に発見し、実機で問題が起こる前にその芽を摘むことである。そのためには、設計者に的確に情報がフィードバックされるようにして、関係者間で情報を共有することが重要だ。XVL Studio Proは、これを支援する仕組みとしてレポート機能と注釈ビュー機能の2つを提供している。

 図7にレポート機能の結果を示す。レポートはExcel形式で出力され、干渉や問題となる隙間があった場合は、ユーザーの指定によってその断面図が挿入されるので、的確に問題点を伝達できる。干渉や隙間をチェックし、修正が必要となった場合は、対処法と担当者、納期をDR時に追記していき、これが課題解決のアクションプランとなるのである。

図7●干渉レポート出力機能
図7●干渉レポート出力機能
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 一方、注釈ビューは、課題を3Dモデル上で共有しようという考え方を実現したものである。かつて図面でDRをしていた頃は、問題点を図面に手書きで記入していた企業も多いだろう。しかし、この手法には欠点があった。図面だけでは問題を的確に伝えにくく、コメントが図面上に散乱するので一覧性がなく問題の見落としが起こるのである。注釈ビュー機能は、XVLの3Dモデルの上に透明なシートを置き、そこに指摘されたポイントを注釈として書くことで、問題点と3Dモデルを紐付ける仕組みである(図8)。書かれた注釈は一覧表示され、そこにも担当者や納期を追記できる。

図8●注釈ビュー機能による設計製造間コラボレーション
図8●注釈ビュー機能による設計製造間コラボレーション
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 出来上がったXVLは、DR議事録として、設計者をはじめとした関係者にメールで送られる。受け取った設計者が注釈の一覧表から自分に関係する課題をクリックすれば、対応する問題の3D画面が表示される。こうしてDR参加者は、正確かつ迅速に課題を共有できるのだ。

 さらに、注釈ビューには分散DRの支援機能もある。大規模なDRの場合、事前に担当者や担当部署でレビューしておけば効率的だ。同じXVLモデルをあらかじめ配布し、それぞれの部署で洗い出した課題を注釈ビューとしてXVLに登録しておいてもらうのである。各部署でレビューされたXVLモデルを集めて、それぞれの注釈ビューをマージできるので、全体レビューの際には、各部署の指摘事項を順次議論すればよい(図9)。検討結果をこのXVLの3Dモデル内に書き込めば、それがそのまま全体の議事録になる。この手法は、設計と製造拠点が離れていて全体レビューをひんぱんには開けないような場合、特に有効だ。 XVL Studio Proはこのような仕組みによって、多面的に意見を吸い上げ、上流段階でデジタルモデルに品質を作り込んでいくことを支援する。

図9●注釈ビューを利用した分散DRの仕組み
図9●注釈ビューを利用した分散DRの仕組み
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