電気自動車(EV)の普及施策「E-KIZUNA Project」を推進するさいたま市が、2013年2月、働きながら子育てをする母親を対象にしたEVの実証事業を開始した。イオンリテール、パーク24、NTT東日本(東日本電信電話)、ホンダと連携し、子育て層がEVを活用するうえでの問題点を明らかにする。EVの普及を促進する「官民連携によるEV生活向上実証事業」である。
モニターを一般から募集し、市内の保育園に子供を預けて働く母親を選出した。実証事業の実施期間は2013年2月4日~3月末までの約2カ月の予定である。
日中はカーシェアリングに活用
今回の実証事業には、さいたま市内在住の3名がモニターとして参加している。市から提供されたEVを使用してJR東日本・北浦和駅まで移動し、そこから電車で都心へ通勤する。いわゆる「パーク&ライド」だ。
これまでは自転車を利用していた母親にとって、EVであれば保育園への子供の送迎や買い物などで便利に移動できる。重たい荷物も楽に運べて、時間の節約にもなる。都心で働いている間、EVはイオン北浦和店の駐車場で充電できる(図1)。
イオン北浦和店は、北浦和駅から歩いて5分ほどのところにあり、帰りに買物するのにも便利である。モニターは無償でEVの提供を受け、イオンでの充電にも金銭的な負担は発生しない。
EVはモニターの通勤時間とは重ならない日中に、カーシェアリングで利用される。社会福祉法人のさいたま市社会福祉協議会が業務で使用する。モニターの帰宅時に電池の残量があるように、午後3時以降はEVを使用しない約束になっている。モニターにとっては、行政が使用していることに加え、帰宅時には必ず駐車されているという「安心感」がある。