先日、溜池山王で南北線に乗り換えて編集部のある白金高輪に向かっている最中に、愛読中の書籍『ビジネススキル・イノベーション~「時間×思考×直感」67のパワフルな技術』がちょうど大詰めを迎えました。同書は「改善士」を名乗る横田尚哉さんの近著。横田さんは、土木事業を中心に10年間で総額1兆円の案件に携わり、総額2000億円のコスト削減効果を成し遂げた経営コンサルタントです。

 そのページには、こんな数式が載っていました。

 これ、素晴らしいと思いませんか? 私はこの数式を見て、2つの意味で感動しました。

 1つは、「人生は今日の積み重ねでできている。今、この瞬間を大切に生きるべきなんだ」と心から実感できたこと。

 もう1つは、数式から伝わってくるイメージを生々しく感じることのできる自分自身に驚いたことです。これは、3年前の私には考えられないことでした。当時の私なら、この数式を見ても、「へ? 何これ? 『人生は今日の積み重ねだ』って言ってもらわないと分かんないよ」と思っていたはずです。

 私に数学の面白さを教えてくださったのは、「渋滞学」で知られる東大教授の西成活裕氏でした。日経ものづくりで同氏の連載『数学で闘え』(2010年4月~2012年3月号)の編集を担当したことがきっかけで、数学の魅力にどんどん引き込まれていきました(同連載をまとめた書籍『とんでもなく面白い 仕事に役立つ数学』はBP書店やAmazonなどにて発売中)。西成氏は当初から、こうおっしゃっていました。「数式には、身の回りにある物と同じようにフワフワとかザラザラといった質感がある。温かな血が流れているんです。そんな質感を、ぜひ多くの技術者たちに知ってもらいたい」と。

 今週の金曜日(2013年3月22日)、西成氏は日経ものづくりなどが主催するイベント「JTNフォーラム 2013Spring ~日本の製造業復活の芽はここにある~」の冒頭で基調講演をされます。テーマは「数学で技術者は強くなる」。まだ席があるようですので、ぜひご参加いただければと思います。

追伸:すみません。結局、宣伝でしたが、数式の質感が分かる(といっても私はまだまだですが…)と、人生の幅が広がることは本当です!