最近、私の事務所(参議院議員会館)に同じ内容についての電話での問い合わせが増えている。「また、中国の話ですか?」私がそう答えると「えー、いつも申し訳ないのですが、中国ビジネスがどうなるかと気になりまして。中国ビジネス通の先生にお聞きしようと…」。

 質問をしてくる相手は、その多くがビジネスパーソンではない。政府関係者や外交関係の人達だ。最近の「安倍ノミクス」なる景気回復策で、いよいよ日本が中国と経済的にどの様に付き合っていくのか暗中模索中の方々からの連絡だ。日本の政治関係の人達は、どうやって中国と経済的に上手くやっていくのか悩んでいる人が多い。

 中国は日本にとって最も重要な経済相手国だ。しかし、「尖閣問題」以来、日本と中国の関係はギクシャクしている。元在日中国大使の王毅氏が、外務大臣にあたる中国外交部の新しいトップになるとの報道が広がると、「王氏は、親日派だから日本には都合がいい」とか「いや、親日派とみられると逆に中国共産党の中で立場が厳しくなるから、日本により厳しく当たるのではないか」とか憶測が飛び交っている。

 「政治と経済は別」--。幾多の日中の政治的な困難な状況を乗り越えて来て、日中のビジネスパーソンの間でこう言われてきたのは周知のとおり。しかし、今回ばかりはどうも今までとは空気が違うようだ。それは次の時代を担う学生たちの様子からもうかがえる。

 「もう日本に学ぶものはありません」「これからは、中国は躊躇することなく米国と、そして世界と堂々と取引をする時代です」

 私は、四半期に一度程度、清華大学の経営管理科(MBA)の学生団が来日した際、受け入れ教官として「日本技術経営」について教えているが、今回、来日した学生達は、私にこう言い放ったのだ。「先生をどこまでも敬う」のが中華風であったが、もはや「先生を越える」のが最近のスタイルらしい。

 
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 中国人の経済的余裕とビジネスマンの自信が、これまでの日本に対する見方を大きく変えている。だから、中国のビジネスパーソンは日本と対等でありたいという意識が強くなっている。では、彼らの内心は本当に強いものなのだろうか?