半導体後工程の製造請負企業である台湾Advanced Semiconductor Engineering社(ASE)と台湾Siliconware Precision Industries社(SPIL)が2013年1月の売上高と2012年第4四半期(4Q)の業績を明らかにした。ASE、SPILともに、2013年1月は対前月比(MOM)で減収となった。2012年4Q業績については、ASEが実質の売上高(後述のATM事業の売上高)でガイダンス(会社側予測)を下回ったものの、実質の売上高総利益率(ATM事業の売上高総利益率)をQOQで0.4ポイント上昇させた。一方のSPILは、2012年4Qについては、連結売上高ではガイダンスを下回ったが、売上高総利益率や営業利益率ではガイダンスを達成もしくは上回っている。

2013年1月の売上高、ASEは実質MOMで4%減

 後工程製造請負で最大手であるASEの2013年1月の売上高は、166億700万新台湾(NT)ドルと、対前年比(YOY)で22.5%増、MOMで12.6%減だった。同社は、2010年2月からEMS(電子機器受託生産)の台湾Universal Scientific Industrial社(USI)を連結対象会社としている。このUSIの売上高を除いたASEのATM(Assembly Test and Material)事業における2013年1月の売上高(実質の売上高)は103億72億NTドル(YOYで11.0%増、MOMで3.8%減)だった。

 ドイツ銀行では、ASEの同年1Qの売上高を対前四半期比(QOQ)で14%減と2桁減収を予想。ただし、同年3月頃から28nmプロセスのスマートフォン向けLSI(米Qualcomm社と台湾MediaTek社)の需要増に牽引され売り上げは回復基調をたどり、同年2Qの売上高はQOQで14%増となると予想している。半導体の前工程と異なり後工程のサービスは生産能力逼迫の問題がないため、数量面のアップサイドが期待できる。一方、想定を超える価格低下リスクがあることは念頭に置いておくべきだろう。

ASEの2012年4Q業績、売上高が会社側予測を下回る

 ASEの2012年4Qにおける売上高は560億800万NTドル(YOYで21%増、QOQで14%増)。ただし、前述のように、ここにはUSIの売上高が含まれている。以下ではUSIの売上高を除いたベース(ATM事業)のASEの4Q業績を記載する。

 4Qの同社ATM事業は、売上高が343億9500万NTドル(YOYで8%増、QOQで2%増)と、QOQで3~5%増としたガイダンス(会社側予測)のレンジ下限を下回った。売上高総利益率は、ユーティリティ・コストが想定を下回ったこと、プロダクトミックスが改善したこと、および原材料費が低下したことにより、QOQで0.4ポイント上昇して23.2%となった(ガイダンスでは22.8%)。営業利益率は、QOQで0.5ポイント上昇の12.3%。稼働率は、パッケージングが85%(3Qは83%)、テスティングが83%(同83%)。ワイヤボンダ関連のパッケージング売り上げ全体に占める銅配線対応の比率は60%に上昇した(3Qは57%)。