次機種「iPhone 5S」の生産前倒しも不安材料

 次機種「iPhone 5S」向けパネル、部品の作り込みの前倒し(当初計画の6~7月から4~5月)実施を前提に、生産が早めに上向く可能性は否定しないものの、肝心の最終需要が喚起されないと意味がない。新興国向けロ-エンド機種についても、まだ具体的な動きに乏しく、織り込むには時期尚早の感がある。

 タブレットPCについては、以前に示したドイツ証券の見方(Tech-On!関連記事)から大きな変更はない。まず「新しい iPad」については製品の需要低迷によって、関連主要部品の生産出荷の停滞が続いている。パネル・ベ-スでの推定出荷数量は2Qに1400万~1500万、3Qに1100万弱、4Qに1000万程度とQOQ減少が続く。そして、2013年1Qは400万程度にとどまる可能性が高い。ただし、以前から指摘している通り、2012年10月ころからパネル出荷数量が製品生産数量を下回っており、部品在庫の消化モ-ドに入っている。2013年1Qのボトムはある程度見えてきたといえよう。あとは実需次第である。

 一方のiPad miniは強含み。3~4Qに出荷された約1100万のパネルは、ほとんどが韓国LG Display社からの供給だった。AU Optronics(AUO)社では、2013年の年明けからしばらく歩留まりが大幅に改善し、100万枚/月程度の供給が可能な体制が整った。需要見通しは強含みである。2013年1Qは部品ベースで1300万~1500万、製品生産ベースで1200万~1300万のQOQ増加を見込む。2013年はiPad miniの台数がiPadを追い抜く可能性が極めて高い。