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 『日経ものづくり』の2013年3月号の表紙は、桃の節句にちなんでピンク色の下地にひな人形を配したデザインとしました。実はこのひな人形、この号の特集1「開花宣言 3Dプリンタ」と関連付けて、ある工夫がされています。お気付きでしたでしょうか?

 その答えは、「ひな人形を積層造形した」というイメージのデザインになっているのです。よく見ていただくと、表面には横線、輪郭は階段状になっているのが分かるかと思います。元々はきれいな画像だったものを、デザイナーの方に処理してもらったのです(元画像は、p.11の目次やp.43の特集1のトビラに使われています)。

 日経ものづくりでは毎号、表紙のデザインは特集1と連動させています。まず、デザイナーさんと編集長、特集担当者(今号は私)が打ち合わせをする中で、編集側から特集の趣旨やタイトルをデザイナーさんに説明し、いろいろとアイデアを出し合います。

 今回は、デザイナーさんが3Dプリンタについては少なからず知識があったので、「3Dプリンタとは」から説明する必要はなかったのですが、3Dプリンタそのものの画像を表紙に使うのは芸がありません。「3Dプリンタで作った何かを表示しては」というアイデアが出たり、3Dプリンタへの注目の高まりから「花開く」や「インパクト」といったイメージのキーワドが出てきたりしました。

 その後、具体的なデザイン案の作成はデザイナーさんの作業となります。約1週間後、複数のラフが編集部に届きます。著作権の関係でデザイン案を全てお見せできないのがとても残念なのですが、どれも惹かれるものばかり。その中から選んだのが、ひな人形を配置したものでした。

 実は、ラフではもう少し1層1層が厚かったのですが、気付きそうで気付きにくい感じにしたいと思い、デザイナーさんに無理を言って再加工していただきました。単純にソフトで画像処理するわけではないので、作業にはかなり手間がかかったそうです。右上の「3」の数字の近くにある花びらも、本番で加わったものでした。最終的にタイトルなどの文字の配置を調整し、完成したのが今回の表紙となります。

 日経ものづくりの表紙は、遊び心も加えつつ特集と連動したメッセージを込めるようにしています。例えば先月(2013年2月号)の表紙(表紙画像はここで見られます)、単なるダーツの的だと思っている方も多いのではないでしょうか。もちろん、特集1「本質機能の一点突破」と連動しているのです。