シャープは、韓国Samsung Electronics社日本法人のサムスン電子ジャパンに対し、3580万株の新株(発行済株式数の3.08%)を発行し、1株290円で割り当て、約104億円の出資を受入れると発表した(関連記事1関連記事2)。目的は液晶事業分野での協業深化である。

短期ではシャープへのメリットは大

 筆者は、シャープへの影響を次のように見る。

 まず短期的には下記3点が挙げられる。
 (1)104億円のキャッシュ獲得。ただし、2013年9月償還のCB(転換社債)は2000億円であり、金額的な影響は非常に小さい。
 (2)今後の資金調達の実施に向けた信用力向上。金融市場に向けたアナウンスメント効果が期待できる。
 (3)亀山第2工場の減損処理リスクの回避。

 中長期では、Samsung向けにパネル供給拡大の“機会”自体は増えるものの、液晶パネルの供給に「拘束力のある長期契約」という考え方は商慣習上ない。結局のところ、実現するか否かは、純粋に事業環境と同社の技術力、コスト競争力次第で決まる。