前回(第11回)は、3次元データを活用した開発プロセスにおいて重要な役割を果たすバーチャル・デザインレビュー(以下、バーチャルDR)を取り上げ、特にバーチャルDRの概要について紹介した。それを受けて、今回はバーチャルDRの導入やレベルアップのポイントについて述べる。

バーチャルDR実施前の設計検討におけるポイント

 従来はモックアップや試作品を製作するまで確認や評価が難しかった内容も、バーチャルDRにより3次元データを活用して視覚に訴えることで、設計初期フェーズから理解を深められる。これにより誤解や齟齬を解消して指摘の活性化や具体化を図り、開発期間の短縮や設計変更・金型修正費・試作費の削減なども実現できる。そのためのデザインレビューがバーチャルDRなのだ。さらに、設計の自由度が高い設計初期フェーズからデザインレビューを行うことで、開発期間短縮と設計品質向上など、トレードオフになりがちな課題の同時解決を図ることもできる。

 このように、バーチャルDRを導入する場合、従来よりも早期にデザインレビューを実施することになる。そのため、バーチャルDRでレビューすべき事項の検討タイミングを、前倒ししなければならない場合も出てくる。

 組付性や作業性の検討を例に見てみよう。従来、これらは試作品を用いたレビューで行っており、組付手順も製品の詳細設計完了後の試作品製作中に検討するものだった。しかし、完成度を早期に高めて試作後の修正を削減するためには、設計中にバーチャルDRを実施する必要があり、組付手順の検討なども製品設計と並行して実施する必要がある。