皆さん、こんにちは。日本IBMの柴田です。この連載も5回目を迎えることが出来ました。今回は、筆者がスパコンの世界で最も深く携わった、「PCクラスタシステム」について書いてみたいと思います。

PGIコンパイラとLinuxとの出会い

 1999年の秋、著者は数値計算ライブラリベンダーを卒業して、HPC系の開発環境のサポートとHPCシステム導入のコンサルを行う会社に移籍していました。その会社では、前回の記事にも登場したPGI(The Portland Group Inc)コンパイラのテクニカルサポートを担当することになりました。

 当時、スパコンに限らずサーバーOSといえばUNIXが主流でした。ハードウエア・メーカーはそれぞれ独自開発のCPUやハードウエア・アーキテクチャ、そして自社開発のUNIX OSとコンパイラなどの開発環境といった感じで、ユーザーにとっては非常に高価な環境だったと思います。

 そこに、PCで動作する「Linux」が登場したわけです。当初は一部のマニア向けという感じでしたが、著名なディストリビューターが登場したことで、利用者が一気に増えていった時期だったと記憶しています。

 PGIコンパイラもLinuxでの利用者が大半でした。筆者が当時好んで使っていたディストリビューションは「Turbo Linux」と「Red Hat Linux」でした。パッケージングの出来に少し違いがあり、その頃はTurbo Linuxを使うことが多かったと思います。当時のカーネルは2.0.12とか、そのくらいだったと記憶していますが(正確には覚えていません)、当初は筆者も全くの素人で、設定方法もよく分かりませんでした。そして、設定をおかしくしては再インストールを繰り返しながら、Linuxを覚えていきました(人間、めんどうなことは、できれば避けて通りたいですからね ^^)。

 話が少し横道にそれました。とにかくPGIコンパイラとLinuxに出会ったことにより、PCベースでもUNIX系のOSが利用でき、高価なUNIXワークステーションに似た環境が安価に手に入るようになった!! と、そんな気がしていました。もちろん、PGIコンパイラのお客様も自分の計算用のUNIX機を手に入れ、自分の好きなように専有する喜びを感じていたはずです。そして筆者は、“これらをたくさん組み合わせればスパコンになるんだろうなー”と漠然と考えていました。