ところで、Samsung社はこのECによる異議告知書の送付に先立つ3日前の12月18日、欧州でのApple社に対する差し止め請求訴訟をすべて取り下げると発表した。おそらく、異議告知書の送付についてSamsung社が事前に情報を得た時点で即決したのであろう。質疑応答メモは、この急な取り下げについても言及している。すなわち、ECはそのSamsung社の発表を承知しているが、それによってSamsung社のいままでの反競争的な行為についての今回の暫定的な決定が変わるものではない、と明記している。

 また、同じく質疑応答メモで、ECは必須特許問題に関して米国の反トラスト法違反の監視当局であるDOJおよびFTCと緊密に連絡を取り合っていることを明らかにした。

 今後の正式手続きとしては、Samsung社は異議告知書に対して書面で回答することになる。さらには聴聞会の開催を要求することができる。なお、1月30日にEU競争担当委員のAlmunia氏は、Samsung社と同様の必須特許問題で複数企業に対して異議告知書を送付する可能性があることを示唆している。