【図】米Apple社が2012年11月に発売した小型タブレット端末「iPad mini」(写真:Apple社のWebサイトより)。
【図】米Apple社が2012年11月に発売した小型タブレット端末「iPad mini」(写真:Apple社のWebサイトより)。
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 『日経ものづくり』の2013年2月号から3月号にかけて、「激戦模様の台湾EMS/ODM動向」と題した連載記事(著者:EMSOne編集長の山田泰司氏)を掲載しました(2月号の関連URL3月号の関連URL )。この中で特に注目したのが、ポストパソコンの本命と目されるタブレット端末です。タブレット端末は、市場を形成する大半の製品について、その生産をEMS/ODM企業が手掛けています。

 今回の連載記事では、米IDCによる2012年通年のタブレット端末の世界出荷台数の予測が1億2230万台と紹介されています。台数換算では米Apple社の「iPad」シリーズが約7130万台となり、Apple社単独の出荷台数がその他の合計台数を上回る独走状態が2012年も続いたようです。Apple社の一人勝ちを大きく後押ししたのが、同社が2012年11月に発売した小型タブレット端末「iPad mini」です。

 Apple社は2012年11月5日、iPad miniと第4世代iPadの販売台数が、販売開始から3日間で300万台に達したと発表しています。この数字は、「第3世代iPadのWi-Fiモデルが発売後初めての週末で売り上げた150万台という記録の2倍の売れ行きだ」と著者の山田氏は指摘しています。その後も、少なくとも2012年内は需要に供給が追い付かない状態が続きました。

 そして、iPad miniのサプライチェーンを構成する企業はiPad mini特需に沸く形で、好業績を上げています。iPad mini向けのタッチパネル・サプライヤーである台湾TPK Holding社は、2012年第4四半期(10~12月期)の決算を発表し、売上高が対前年同期比で35.2%増、対直前四半期で72.6%増と伸びています。営業利益に至っては、対前年同期比で135.8%増、対直前四半期比で125.0%増の大幅な増益となっています(Tech-On!関連記事)。

 では2013年はどうなるのでしょうか。やはりApple社の強さはことタブレット端末では変わらないでしょう。本連載記事では、ある調査会社の見方として、Apple社が2013年通年のiPad miniの出荷目標を5000万台に設定するとの予測を紹介しています。そして、このアグレッシブな生産計画を実現するためにApple社は、パネルなどの中核部品のサプライヤーの数を増やすとの見解を紹介しています。少数の部品メーカーに頼ると、そのメーカーの製造歩留まりなどが低迷した場合に、最終製品を計画通りの数量で出荷できなくなる恐れがあるからです。今後、第2世代品も含めてiPad miniをめぐる部品メーカーやEMS/ODM企業のチャンスは拡大していくと思われます。

 ここから先は、セミナーのお知らせです。日経ものづくりでは、日本の製造業が海外を中心とするEMSやODM企業とどのように付き合っていけばよいかを探るためのセミナー「EMS/ODMとどう付き合うか」を2013年3月8日(金)に開催します。今回ご紹介した、TPK社からPresident and CEOのTom Sun氏に、このセミナーでご講演いただきます。昨今の絶好調な事業状況を踏まえて、2013年以降の同社の勝ち残り戦略を披露します。このほか、iPad miniの組み立てを担当する台湾Hon Hai Precision Industry社(通称Foxconn)の特別顧問である中川威雄氏(日経ものづくり2012年11月号に特別寄稿を掲載)も基調講演に登場します。詳しくは下記の告知をご覧ください。