Liイオン2次電池といえば、最近真っ先に頭に浮かぶのが「Boeing 787」の電池事故。原因究明の途上ではあるものの、高容量化とは別の「安全」という軸が電池の研究開発で重要性を増すことは間違いありません。「安全に対するハードルは確実に高くなっています」と、久米記者もコラムで指摘しています。

 久米記者のコラムのコメント欄には、読者から以下のようなご意見も。

原因解明が進まないB787の事故報道を見るにつけ、やはり現在の可燃性電解質を用いる限り安全性の担保は取れないと強く感じます。一方で自動車の電動化を促進するためにも新材料系の次世代電池の開発は喫緊の課題と思います。日本の総力を挙げて世界をリードする技術開発を実現して欲しいものですが、それにはリソースの集中が必須であり、現在の材料系のLi電池の改良などは見切るくらいの覚悟も必要ではないでしょうか」。

 そういえば昨年、米国シリコンバレーを訪れた際に、Tech-On!の人気コラム「Silicon Valley Insight」を執筆するコラムニスト、Phil Keys氏所有のEV「LEAF」を借りて、恐る恐る運転しました(同氏のコラム「シリコンバレーを電気自動車の中心地に」)。うれし恥ずかしの初体験。予想を超える加速力に驚いたのでした。

 Keys氏いわく、「シリコンバレーはもしかしたら世界のEV中心地なのかもしれない」。技術が大好きで環境意識が高い同地の消費者、そして専用車線を走れる渋滞回避策としての活用という背景もあり、確かに普通にEVを見かける機会も多い印象です。

 安倍首相の訪米で政府が参加する見通しを示した「環太平洋経済連携協定(TPP)」の交渉では、自動車市場の開放が主要な争点の一つになりそうな気配。軽自動車の税制優遇や、関税の税率といった政治の課題に、「より軽く、より長持ちに」する技術開発の挑戦が絡み合い、これからしばらく自動車関連の業界にとっては熱い状況が続きそうです。