鍛造:材料の流れを3Dで検証

 熱間鍛造、冷間鍛造では素材形状から製品形状へ大きな変形が発生することから、シミュレーション(一覧表[3])には通常はソリッド要素を用いる。「変形に伴って要素を定義し直しながら(リメッシング)、計算を進める」(アプライドデザイン)。計算結果として、3D的な材料の流れを示す「鍛流線」などが得られる。この計算方法は、薄板のプレスでは厚みのないシート要素を用いるのと、大きく異なる。

 近年、鍛造と薄板プレスの中間に当たる工法である板鍛造を手掛ける企業が増えており、シミュレーション・ツールへの需要も増えはじめた。板鍛造では厚板から立体的な形状を得る。シミュレーションには鍛造用のツールを転用する場合もあるが、「Stampack」(スペインQuantech ATZ社)は薄板プレスと厚板の板鍛造の両方に適用できる。「板鍛造にはソリッド要素を用いるが、鍛造と異なり通常はリメッシングなしで計算できる。リメッシングがないことから、結果の精度を高めやすい」(アプライドデザイン)という。

一覧表●加工シミュレーション・ツールの例(鍛造)
製品名 開発会社 概要 連絡先
鍛造
AFDEX 韓国Metal Forming Research社 冷間鍛造、熱間鍛造について材料の流動(鍛流線)や成形結果の欠損、金型への応力の予測が可能。 JSOL
DEFORM 米Scientific Forming Technologies社(SFTC) 冷間・温間・熱間鍛造、焼結鍛造、押出し、引抜き、板材成形、破断解析、圧延・ロール成形、リングローリングなどを対象とする。熱処理用、切削加工(旋削、ドリリング、ミリング)用のモジュールもある。 ヤマナカゴーキン
FORGE 仏Transvalor S.A社 ロール鍛造、リングローリング、揺動鍛造などの熱間、温間、冷間塑性加工が対象。クラスターシステムでの並列計算に対応。 SCSK
Marc 米MSC Software社 材料ライブラリと接触機能、自動時間増分調整機能などを組み合わせて熱間/冷間鍛造、打ち抜き、深絞り、押し出し、ハイドロフォーミング、圧延、クリープ成形、ストレッチフォーミング、リベット加工などのシミュレーションを実行できる。超塑性加工解析(SPF)、熱間圧縮成形(HIP)、熱処理、切削にも適用可能。 エムエスシーソフトウェア
simufact.forming 独simufact engineering社 スプリングバックのような弾塑性現象もシミュレーションできる。ソルバは有限要素法と有限体積法を選択可能。 NTTデータエンジニアリングシステムズ