図●新冷媒HFC-32を業界で初めて採用したダイキン工業のルームエアコン「うるさら7」
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 2013年2月12日、ダイキン工業が2012年4~12月期の連結決算を発表した。連結売上高は前年同期比3.4%増の9363億4100万円。国内/中国/アジアなどの地域での空調事業の売上高が伸長したことが貢献した。その1つの原動力となったのが、新冷媒のHFC-32を業界で初めて採用したルームエアコン「うるさら7」である()。高い省エネルギ性が消費者に評価され、うるさら7の販売は好調に推移。2012年4~12月期における住宅用空調機器の国内販売台数は、業界全体では前年同期比3%増に微増だったが、ダイキンは10%増と競合他社に差を付けた。

冷媒のエネルギ効率が高く省エネに寄与

 こうしたうるさら7の高い省エネ性に大きく寄与したのが、新冷媒のHFC-32(CH2F2)だ。ルームエアコン(国内)ではこれまで、HFC-32とHFC-125(CHF2CF3)を50%ずつ混ぜたR-410Aという冷媒を使っていた。これを単独のHFC-32に置き換えたのだ。

 ダイキンによれば、HFC-32はCOP(成績係数、エネルギ効率の指標の1つ)がR-410Aと比べて約6%高い。その効果で省エネ性を飛躍的に高められた。

 冷房能力4kWクラスのエアコンで比較すると、HFC-32を使ったうるさら7のAPF(通年エネルギー消費効率)は7.0と同クラスでは業界最高、これに対して従来のR-410Aを使った機種のAPFは6.6と低い。たった0.4の差と思うかもしれないが、「冷媒を変えずにAPFを0.1上げるのは大変なこと。それを一気に0.4引き上げられたのは、新冷媒のHFC-32によるところが大きい」(ダイキン工業広報部)という。APFで7.0と6.6の差は、年間電気代(モデルケースの場合)に換算すると、1600円(電力料金を22円/kWhとして試算)に相当する。