今回(第11回)と次回(12回)では、3次元データを活用した開発プロセスにおいて重要な役割を果たす、バーチャル・デザインレビュー(以下、バーチャルDR)について考えていく。今回はバーチャルDRの概要について紹介し、次回ではバーチャルDRの導入やレベルアップのポイントについて述べる。

開発における3次元データ活用

 まず、開発における3次元データ活用の全体像について解説した上で、バーチャルDRの位置付けを確認していこう。図1をご覧いただきたい。

図1●開発プロセスにおける3次元データの活用
図1●開発プロセスにおける3次元データの活用
[画像のクリックで拡大表示]

 3次元データには、設計情報を分かりやすく表現することができる、CAE(Computer Aided Engineering)に利用しやすい、自動化できる作業が増える、といった特長がある。そこで、開発期間短縮や品質向上、原価低減、効率化などの成果を獲得するため、CAE、バーチャルDR、CAM(Computer Aided Manufacturing)、ドキュメント自動作成などに活用されている。

 こうした3次元データの活用方法を、設計フェーズ・開発企画フェーズといった「設計フェーズ以前における活用」と、試作/評価フェーズ・生産/販売準備フェーズ・量産開始後といった「試作/評価フェーズ以降における活用」に分けると、CAEとバーチャルDRは設計フェーズ以前(以下、設計フェーズ)における活用となり、CAMとドキュメント自動作成は試作/評価以降における活用方法となる。

 一般的に、試作/評価フェーズ以降に問題が発生すると、試作品の再製作や試験の再実施、金型の修正などが必要となり、QCD(Quality、Cost、Delivery)への影響が大きい。そのため、開発プロセス改革においては、まずこうした問題を防止することが先決となる。このような観点からすると、設計フェーズにおいてこれらの問題を防止するための活用方法こそが重要なのだといえる。バーチャルDRは、そのための一つの活用方法として位置付けられる。