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エディターズ・ノート

先輩から後輩に伝えるべきこと

  • 池松 由香=日経ものづくり
  • 2013/02/21 07:00
  • 1/1ページ

 本日(2月20日)の午前中、2007~2008年にTech-On!編集部に在籍されていた和田英一さんの告別式に参列してきました。和田さんはTech-On!在籍時、動画を多用することで、取材内容だけではなく取材時の「場の空気」をも伝える記事をたくさん執筆されていました(和田さんの書かれた記事1記事2記事3)。享年48歳でした。

 和田さんと一緒にお仕事をさせていただいた期間は、ほんの1年間に過ぎません。私が日経ものづくり編集部に配属になり、Tech-On!に記事を書くようになった2007年5月から、和田さんが別の部署に異動されるまでの1年間です。でも、和田さんのことは強く印象に残っています。当時、右も左も分からず不安を抱えていた私を幾度となく励ましてくださったからです。

 その方法は、とても和田さんらしいものでした。和田さんは、人前にしゃしゃり出るようなタイプではありません。温和な雰囲気を醸し出しながら、いつもそこにいて、IT関連技術に詳しいこともあり皆から頼りにされていました。その和田さんから時折、メールをいただくことがありました。大抵は、私がTech-On!に執筆した記事に対するコメントです。

 例えば、三洋電機のIHジャー炊飯器の記事。Tech-On!では、こうした新製品発表会に記者が出席して記事を書くことがよくあります。しかし、それまで経営誌に在籍していて新製品発表会などに出席したことのなかった私は、何をどう取材していいのやら写真をどう撮ればいいのやら分からず、戸惑っていました。IHジャー炊飯器の発表会では結局、技術的に重要なポイントとは無縁の写真ばかり撮ってきてしまいました。

 「あ~、一体、いつになったら一人前になれるんだろう」。そう思って落ち込んでいると、そんな時に限って和田さんからメールが届きます。「記事、読みました。すごく良い写真じゃないですか! 開発者の思いが伝わってきます」。そ、そうだろうか…。決して良い写真ではないと分かってはいても、ちょっとだけ自信をつけることができました。当時の私に欠けていたのは自信。和田さんは、それを見抜いているかのようでした。

 先輩から後輩に伝えるべきことは、どの業界にもあるはずです。それを押しつけるわけでもなく、かといって放任するわけでもない。それが和田さんのやり方でした。そんなさりげない伝承を、今度は私が後輩にできる日が来たらいいな、と思います。和田さんのご冥福をお祈りいたします。

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