今、日本の製造業は、良い製品を創り出すための試行錯誤と、製品を安くかつ速く市場に送り出すための効率化が求められています。その二律背反を高いレベルで両立させるカギは、設計力に外なりません。本コラムでは、時代の先端を行く識者へのインタビューや他に類を見ない企業事例など設計力を磨く上でヒントとなりそうなバラエティーに富んだ記事を紹介します。
設計力を磨くためのヒント
今、日本の製造業は、良い製品を創り出すための試行錯誤と、製品を安くかつ速く市場に送り出すための効率化が求められています。その二律背反を高いレベルで両立させるカギは、設計力に外なりません。本コラムでは、時代の先端を行く識者へのインタビューや他に類を見ない企業事例など設計力を磨く上でヒントとなりそうなバラエティーに富んだ記事を紹介します。
目次
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「工数を減らせ」と言う経営者が、考えない技術者を生む
マツダの「モノ造り革新」は何が優れているのか
モノ造り革新の柱になっている「一括企画」や「コモンアーキテクチャー」というのは、一種の標準化ではあるのですが、その目標はとにかく良いクルマを開発するということで一貫しています。ここは全くぶれていない。マツダは、良いクルマを開発するために楽をできるところでは楽をしようとしているわけです。
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設計は製造を下に見ていないか
固定費マネジメントが失われた理由について北山一真氏に聞く
日本の企業がもうからないのは、固定費の実態が見えていないからだ。「プロフィタブル・デザイン」の提唱者であるプリベクト代表取締役の北山一真氏はそう指摘する。とはいえ、かつては日本の企業も固定費マネジメントを実践していたのである。それが失われた理由は、設計と製造の関係が時代とともに変化したことにあった…
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技術者も経営者も、本当のコストが見えていない
固定費マネジメントの重要性について北山一真氏に聞く
技術力があるのに、もうからない。その原因の一端は、技術者や経営者が変動費ばかりを見て、固定費の管理がおろそかになっていることにある。「プロフィタブル・デザイン」(利益獲得設計)の提唱者であるプリベクト代表取締役の北山一真氏はそう指摘する。なぜ原価の大きな割合を占める固定費が見過ごされてしまうのか、…
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成功企業ほど変われない、その解決策は「二刀流組織」
イノベーションの本質について柴田友厚氏に聞く
以前の成功体験が邪魔をして、圧倒的な地位を築いていた勝者が環境変化に対応できず没落する――。古今東西よく聞く話であり、イノベーションを継続的に起こすことの難しさを物語っている。成功体験に溺れることなく、環境変化に対応し続けるには、どうすればいいのか。ある意味での「イノベーションの本質」を分析したの…
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今こそ求められる「ものづくりイノベーター」
イノベーションを起こせる人材について森岡謙仁氏に聞く(最終回)
前回、アーステミア社長の森岡謙仁氏は、継続的にイノベーションを起こすには新製品/新サービス開発をするだけではなく、業務改革を遂行するためのグローバルなマネジメント技術をしっかりと身に付けた上で、「意識改革」「仕事改革」「組織改革」「経営改革」の4つの改革に踏み込むことが重要と説く。加えて、夢を描く…
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車両に落書きをされたことはありません
「ななつ星in九州」(JR九州)の車両をデザインした水戸岡鋭治氏に聞く(最終回)
デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインした豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」(JR九州)は、2013年10月15日の営業運転開始後、かなりの高額であるにもかかわらず、大変な人気を博している。最終回は、「顧客の期待値」を常に超えようとする姿勢について語っていただく。
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アクリフーズにみるマネジメントの欠陥
イノベーションを起こせる人材について森岡謙仁氏に聞く(第2回)
前回、アーステミア社長の森岡謙仁氏は、多くの企業が現在好調な業績を残しているものの本当の実力は予断を許さず、3年後、5年後を見ないと判断できないと指摘。熾烈なグローバル競争の中で真の実力を身に付けるには、イノベーションを継続的に起こす力が必要とした。その上で同氏は、イノベーションを新製品/新サービ…
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さっき、樹脂にしろって言ったじゃないか
「ななつ星in九州」(JR九州)の車両をデザインした水戸岡鋭治氏に聞く(第5回)
デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインした豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」(JR九州)は、2013年10月15日の営業運転開始後、かなりの高額であるにもかかわらず、大変な人気を博している。今回は、水戸岡氏が理想とする「稼ぐ仕事と、稼ぎは別として世の中に貢献する仕事が、半分ずつ」という…
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今足りないのはイノベーションを継続的に起こす力
イノベーションを起こせる人材について森岡謙仁氏に聞く(第1回)
日本の製造業を苦しめたリーマン・ショックから約5年半の歳月が流れた。この間には東日本大震災が日本を襲うなど、製造業のみならず日本企業を取り巻く経営環境はかつてないほど厳しい状況に追い込まれた。こうした猛烈な逆風の中、製造業は合理化や構造改革に腐心し、贅肉を徹底的に削ぎ落してきたのである。ところがよ…
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ある意味で人間は感性や勘が全て、です
「ななつ星in九州」(JR九州)の車両をデザインした水戸岡鋭治氏に聞く(第4回)
JR九州が2013年10月15日に営業運転を開始した豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」は、かなりの高額であるにもかかわらず、大変な人気を博している。今回は、ななつ星in九州のデザインに和のテイストを多用した理由と、その背景にある日本人ならではの感性はどういうものか、それをどう生か…
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「青臭いですね」ってよく言われます
「ななつ星in九州」(JR九州)の車両をデザインした水戸岡鋭治氏に聞く(第3回)
JR九州が2013年10月15日から営業運転を開始した豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」は、かなりの高額であるにもかかわらず、大変な人気を博している。その車両のデザインを担当した水戸岡鋭治氏が、「新しいものを生むためには、ある意味でムダが必要」と、効率至上主義とは対照的な考え方を…
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つまらないものは、つまらないと言う
「ななつ星in九州」(JR九州)の車両をデザインした水戸岡鋭治氏に聞く(第2回)
JR九州が2013年10月15日から営業運転を開始した豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」は、かなりの高額であるにもかかわらず、大変な人気を博している。 そのデザインを担当した水戸岡鋭治氏に、ヒット商品を生み出すのに必要な考え方、デザイナーの立場で機械技術者に期待するものを話してい…
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夢に向き合ってみんなが精一杯つくった「ななつ星」
「ななつ星in九州」(JR九州)の車両をデザインした水戸岡鋭治氏に聞く(第1回)
JR九州が2013年10月15日から営業運転を開始した豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」は、かなりの高額であるにもかかわらず、第1期(2013年10~12月)分の抽選倍率が7倍にもなり、既に第3期(2014年4~6月)分も売り切れている(JR九州企画販売分)など、大変な人気を博し…
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一括企画だからこそ「マツダブランド」を打ち出せる
マツダ「一括企画」の成果を新型「アクセラ」主査の猿渡健一郎氏に聞く(後編)
マツダが2013年11月に発売した新型「アクセラ」では、同社として初めてハイブリッド車(HEV)を設定した。同社が推進する「一括企画」の中でHEVはどのような位置付けになるのか、そして一括企画によって技術者や開発プロジェクトを統括する主査の仕事はどう変わったのか、アクセラの主査を務めた猿渡健一郎氏…
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基礎となるモジュールで「理想形」を追求
マツダ「一括企画」の成果を新型「アクセラ」主査の猿渡健一郎氏に聞く(前編)
2013年3月期の連結決算で5期ぶりの最終黒字化を果たすなど、業績が好転したマツダ。今後の高収益化の布石と位置付けているのが「モノ造り改革」であり、その柱である「一括企画」だ。一括企画とは、2015年までに発売する8車種をまとめて企画し、その実現に必要な標準モジュール(≒SKYACTIV TECH…
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Apple社が構築しつつある「しがらみのない系列」
技術を生かす調達・購買戦略について坂口孝則氏に聞く(最終回)
前回に引き続き、技術出身の調達・購買担当者が果たすべき役割について未来調達研究所取締役の坂口孝則氏に語っていただいた。そうした現場の知見を調達・購買に生かしている最近の事例として、同氏は米Apple社を挙げる。
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技術出身の調達・購買担当者は、もっと活躍してもおかしくない
技術を生かす調達・購買戦略について坂口孝則氏に聞く(第3回)
オープンソース的な手法を取る「MAKERS」の出現は、既存のメーカーにどのような影響を及ぼすのか。未来調達研究所取締役の坂口孝則氏によれば、そうした手法は直ちに主流にならないが、開放すべき部分も少なくないという。さらに、話題は技術出身の調達・購買担当者への期待に移る。
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懇親目的の“協力会”が重荷に、サプライヤーとは戦略的に提携せよ
技術を生かす調達・購買戦略について坂口孝則氏に聞く(第2回)
日本の調達・購買部門には、「マザー調達本部」として設計・製造の現場に有益な情報を届けることと、戦略的なサプライヤー組織を築くことが求められると、未来調達研究所取締役の坂口孝則氏は指摘する。それらを実現するための方策と課題について、同氏に聞いた。
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「安かろう悪かろう」招いた集中購買、技術戦略に応じたサプライヤー管理へ
技術を生かす調達・購買戦略について坂口孝則氏に聞く(第1回)
近年、メーカーにおける調達・購買部門の権限が強まっている。製品や生産設備に用いる部材の選定では、設計・製造の現場ではなく調達・購買部門が主導権を握っている場合も少なくない。各メーカーはどういった危機意識で調達・購買改革を進めているのか、この分野に詳しい未来調達研究所取締役の坂口孝則氏に聞いた。
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組織の壁を超えなければ、開発プロセス革新もあり得ない
3Dデータ活用による開発プロセス改革について鳥谷浩志氏と新井本昌宏氏に聞く(最終回)
プロセス改革に着手したものの、失敗に終わるケースは少なくない。ラティス・テクノロジー(本社東京)代表取締役社長の鳥谷浩志氏とデロイト トーマツ コンサルティング(本社東京)マネジャーの新井本昌宏氏は、失敗の原因に「組織の壁」を挙げる。これまでうまく役割を分担してきた組織が、グローバル化によって機能…