にもかかわらず、1冊目が出た8カ月月後に第2弾が出た。もっと驚くことに、本書の「おわりに」には、第3巻以降の構想が書かれている。こんなニッチな業界向けに、マンガという手間ひまのかかる方法で出版を続けるなんて、信じられない!
あらためて版元のホームページを見てみると、三光出版社は、プラスチック産業の技術専門書しか出していない出版社であることが分かった。『初歩のプラスチック 新版』、『やさしいプラスチック 金型』などの初級者向けの入門書、『最新の射出成形技術 新版』などの中・上級者向け解説書、さらに技能検定受検者用『プラスチック成形技能検定の解説』シリーズまで、プラスチック、プラスチック、プラスチック、……。
プラスチック成形関連書籍しか扱っていない出版社なのだ。
そのプラスチック成形専門出版社から、2冊目のコミックが出た。たとえて言えば、全国チェーンでもない街角の書店が、「Kindle Fire」 に対抗して新しい7インチ・タブレット端末を発売したようなものである。
よくもまぁ、こんなチャレンジを……、と感嘆せずにいられない。
しかし、こうして第2弾が出ているところをみると、「ニッチな業界向けの教科書マンガ」という新しい試みは、成功したに違いない。利益率は分からないが、そこそこ売れたからこそ、2冊目に繋げられたのである。
このように『成形女子こはく』が成功し、第2弾が出たことは、プラスチック成形と直接関係のない業界人にも勇気を与えてくれるのではないだろうか。