2013年1月24日にトヨタ自動車とドイツBMW社が開催した共同記者会見の様子。左から2人目が、トヨタ自動車 代表取締役副会長の内山田竹志氏。(写真:トヨタ自動車)
2013年1月24日にトヨタ自動車とドイツBMW社が開催した共同記者会見の様子。左から2人目が、トヨタ自動車 代表取締役副会長の内山田竹志氏。(写真:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 「Li空気電池は非常に大きな容量を実現できる可能性がある。両社で力を合わせて全く新しい電池を開発していきたい」――。

 トヨタ自動車 代表取締役副会長の内山田竹志氏が決意を口にしていました。2013年1月24日。トヨタ自動車とドイツBMW社が協業に関して契約を結び、その緊急記者会見での一幕です( Tech-On! 関連記事)。両社は、燃料電池車とスポーツ・カー、軽量化技術、そして“ポストLiイオン2次電池技術”を共同で研究開発していくことで正式の合意を結んだのでした。

トヨタの“革新的な電池”とは


 内山田氏の決意表明を聞きながら、筆者はある人物のことを思い浮かべました。それが、トヨタ自動車における電池研究の重要なカギを握る一人である射場英紀氏です。射場氏は、トヨタ自動車が静岡県裾野市に構える次世代電池の開発拠点である「電池研究部」で部長を務め、革新的な2次電池の研究開発を指揮している人物。

 「10年、20年先の将来を見据えた革新的な電池を生み出すのが我々の使命」――。

 以前取材をさせていただいたときに、射場氏が語っていた印象的な言葉です。トヨタ自動車が“革新的な電池”として精力的に研究開発を進めるのが、「ポストLiイオン2次電池」と呼ばれるLi空気電池や全固体電池なのです( トヨタ自動車のLi空気電池に関するインタビュー記事 トヨタ自動車の全固体電池に関するインタビュー記事)。同社は、2012年11月に取材をした電池関連で国内最大の学会「第53回 電池討論会」でもLi空気電池や全固体電池の研究成果を積極的に発表していました。

 トヨタ自動車の電池開発はどのような進展を遂げているのか。そして、同社だけでなく電池業界で注目を集める最新技術とはどのようなものか。こうしたことを読者の方々にも伝えたいと考え、企画したのが「次世代電池の開発最前線 2013」(2013年2月28日、東京・永田町)です。同セミナーでは8件のご講演を予定していますが、唯一、射場氏にはご講演時間を拡大することにしました。90分間、“革新的な電池”のブレイク・スルーに必要な技術要素をじっくりと語っていただきます。

進展する全固体電池


 「最近では、有機電解液並みのLiイオン伝導度を備える物質が発見され、さらに期待が高まっておりますが・・・」――。