中国で売れる日本の空気清浄機

 日本での騒ぎとは比較できないほど、中国ではPM2.5をはじめとする大気汚染が深刻な社会問題になっている。「空気」という身体に影響する身近な話題だけに、消費者の関心は高い。日本の製造業にとっては、家電製品や環境対策技術などの分野でビジネス・チャンスになる可能性も秘めている。

 例えば、今、中国では日本メーカー製の家庭向け空気清浄機が売れている。パナソニックでは2013年1月に、中国での空気清浄機の販売台数が前年同月比2.2倍に増えた。PM2.5を取り除ける機能が人気の理由になっているようだ。

 中国ではPM2.5を取り除く機能の性能基準があり、中国国内で販売している機種はその基準に即して空気中のPM2.5の97~99%を取り除く性能を備えているという。日本向けの機種ではその機能をうたっていないが、「タバコの煙は除去できるので、PM2.5にも効果を期待できるだろう」と、同社は話している。

 今後、中国政府による規制強化が本格化すれば、日本メーカーが保有する排煙や排気ガスから粒子状物質を取り除くノウハウなども有望な候補になるだろう。ただ、この数年では、工場の排煙浄化技術など環境対策技術の輸出で現地企業との特許係争に巻き込まれ、痛い目にあった日系企業も存在する。環境対策は「国策」に強力に結び付く分野だけに、技術の輸出が一筋縄にはいかない可能性もある。

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記事中の写真説明で「写真は、住友スリーエムが販売する微粒子防護用のマスク」とあったのは、「写真は、スリーエム ヘルスケアが販売する微粒子防護用のマスク」の誤りでした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。 [2013/2/26 11:45]