電気自動車(EV)とハイブリッド電気自動車(HEV)の需要が、今後15~20年で数千万台に達する見込みだ。このことは、パワー・モジュールの設計とメーカーの業界地図に変化をもたらす。トヨタ自動車は、同社のハイブリッド車によって、パワー・エレクトロニクスのパッケージングの改善を牽引した。他の自動車メーカーもこれに続き、独Infineon社、デンマークDanfoss社、独SEMIKRON社、富士電機といった企業によるパッケージング技術の進歩につながっている。そして、この恩恵をすべての市場が受けている。

 産業向けおよび再生可能エネルギー向けといった従来のパワー・モジュールの市場では、高信頼性、長寿命、高品質が要求される。非常に高い付加価値や少量生産も求められるが、コスト圧力は比較的小さい。EVとHEVは、広い動作温度範囲といった、より高性能な仕様を実現するための研究を促進している。そして、このことは既存の用途にもプラスになるだろう。

 パワー・エレクトロニクス業界は、現在Alワイヤ・ボンディングが広く用いられているという点で異常な状態にある。抵抗を下げ、熱伝導率を高め、寿命を伸ばすことができる他の選択肢によって、より良い性能が実現できるかもしれない。ワイヤ・ボンディングは、とても脆く、熱サイクルや振動、衝撃によって外れてしまう可能性がある。