半導体関連の3つのサイト、「半導体デバイス」、「半導体製造」、「EDA」に投稿の全記事を対象に、直近2週間(2013年1月29日~2月11日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。再編や構造改革が進行中の国内半導体メーカーの動向を扱った記事に、読者の方の関心は集まった。

 その筆頭は、富士通(実際の事業は子会社の富士通セミコンダクターで実施)とパナソニックの2社によるシステムLSI(欧米では、「システムLSI」ではなく、「SoC」(system on a chip)と呼ぶ。以下、SoC)事業の統合に関する記事である。2社が同事業を統合して新会社を発足することは、2013年2月7日に行われた富士通の決算発表と同時に公表された(ランキング5位の記事)。この公表の前に行われた、2月1日のパナソニックの決算発表でも、SoC事業統合は大きな話題だった(ランキング1位の記事)。

 そして、2社と共にSoC事業を統合すると目されていたルネサス エレクトロニクスだが、今回は統合話に参画しなかった。富士通の決算発表の翌日の2月8日には、そのルネサスの決算発表があったものの、同社社長の赤尾泰氏からは、SoC事業の先行きに関して、明確な答えは出てこなかった(今回はランク外の記事)。また、3社とは別の構造改革の話題もあった。東芝の代表執行役副社長の齋藤昇三氏の講演がそれである(ランキング7位の記事)。「ICや素子といった単品ではなく、それをまとめたモジュールに力を入れたい」(同氏)とのことだった。

 新技術開発の紹介記事では、パナソニックが開発した、回折現象を利用した色分離技術が高い関心を集めた(ランキング2位の記事)。カラー・フィルタを使用した従来の色分離方式と比べて、光センサの感度を約2倍に高めることができるという。また、米IBM社研究所が開発中の「MPU、GPU、FPGAをまとめてプログラムできる環境」への関心も高かった(ランキング8位の記事)。Javaを拡張した「LIME」と呼ぶ言語を使う。EclipseベースのIDE(Integrated Development Environment)はすでに開発されている。

 技術応用の紹介記事では、デンソーの熱設計の話題に対する注目度が高かった(ランキング3位の記事)。熱実験を熱シミュレーションに置き換えて、熱設計のコストを5割以上削減した。すでに製品になったものの中では、東芝が19nm世代プロセスを用いた製造している「128GビットNANDフラッシュ・メモリ」の記事が最もよく読まれた(ランキング14位の記事)。

半導体アクセス記事ランキング(1/29~2/11)
1富士通・パナソニックのシステムLSI事業統合報道、「選択肢の一つ」とパナソニック常務
2パナソニックが回折で色分離する素子を開発、民生/産業用映像機器のカラー撮影が2倍明るく
3「ECUの熱設計のコストを5割以上削減」、デンソーが熱への組織的な取り組みを語る
4生き残るのは「越境者」
5富士通が半導体の抜本改革、パナソニックとシステムLSIのファブレス会社、TSMCらと製造会社を設立へ
6【連載:牧本次生が語るルネサス・マイコンの源流】 第3回●不和の始まり
7東芝が半導体事業戦略について講演、「デバイス単体からサービスへ事業領域を拡大」
8MPU、GPU、FPGAをまとめてプログラムできる環境、IBM研究所がJava拡張言語ベースに開発中
9【ナノテク展】富士フイルムが2.5次元/3次元実装向けインターポーザ技術を出展、60nmのビア径を実現
10給与変動制を機に資格試験、東芝情報システムでは管理職も受験
11【連載:牧本次生が語るルネサス・マイコンの源流】 第2回●共にIntelと戦おう
12【ナノテク展】東芝、NANDフラッシュへの適用を視野に自己組織化現象を利用したリソグラフィ技術を紹介
13ルネサス、後工程の3つの生産拠点をジェイデバイスに譲渡へ
14【ナノテク展】東芝、19nm世代プロセスを用いた128GビットNANDフラッシュ・メモリを出展
15SIJテクノロジと阪大、超微細インクジェットによる有機半導体薄膜の塗布技術を開発
16東芝が100MHzアクセスでノーウエイトの「NANO FLASH-100」を開発、Cortex-M4マイコンに搭載
17【ナノテク展】デンソーなど3社、世界最高品質をうたう6インチSiC基板を出展
18【MEMS 2013続報】眼球にDDS、外部磁界で薬液投与を制御
19TSMCが450mmウエハーの導入時期を明言、「2018年に7nm世代で」
20【MEMS 2013続報】ウエハーから任意チップを剥離し別ウエハーへ移植