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ソニーと鴻海、上海テレビ合戦顛末

山田 泰司=EMSOne
2013/02/12 00:00
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 先日、自宅のテレビを買い替えようと思い立った。買う機種も決めた。そこで、アパートの大家に連絡した。いまあるテレビを、大家に引き取ってもらうためだ。

 上海の賃貸住宅は家具・家電付きで、家賃を3カ月分前払いするというのが基本。契約の際、家具や家電についてある程度の要望は出せるものの、基本的には大家が揃えたものを使うことになる。

 わが家のテレビはソニーの「WEGA」(ベガ)。WEGAブランドは液晶テレビやプラズマテレビにも使われたそうだが、わが家のモデルはブラウン管。28型で、計ってみたら奥行きは50cmもあった。最近ではなかなか見かけなくなったタイプのものだ。製造されたのは恐らく1990年代末ではないか。

 今のアパートに入居して5年目になるが、当初は中国Sichuan Changhong Electric社(長虹)のブランド「CHANGHONG」のブラウン管テレビだった。それが3年目のある日、上海人のわが家の大家が、「テレビをソニーに交換してやる」といささか鼻息荒く連絡してきた。頼みもしないのに新しいテレビなんて、珍しいこともあるものだと思いつつ楽しみに待っていたところ、大家が運んできたのがこのテレビだった。大家自身は言わないものの、要するに、大家は自宅に液晶テレビの新品を購入し、それまで使っていたお古を持ってきたというところだろう。

「ウチはあなたの家の物置きじゃないんだよ」と大家に向かってチクリとイヤミをかましつつスイッチを入れてみると、ソニーの誇る「トリニトロン管」を使ってこのWEGAから実現したというフルフラットの画面は、十分に鮮明だった。さらに、賃貸住宅に付く家電のグレードは、家賃に比例するというのが実情で、まあ確かに、「それなり」ならぬ「ブラウン管なり」程度の家賃しか払っていない。そしてまた、大家がわざわざ「ソニーに替えてやる」と言った言葉から、「ソニーを買った」という彼らの当時の喜びが伝わってきたような気がしたことが、日本人として、何だかうれしかったのだ。

 ちなみに、わが家の洗濯機は、これも大家がかつて自分で使っていたナショナルの「愛妻号」で「Fuzzu人工知能」と表記されている。ファジーの言葉が流行したのは1990年のことだから、これも20年近く前に購入したのだろうが、使用には全く支障がない。わが家の大家夫婦は70歳手前だが、この年代の中国人は、日本製品の品質に対する信頼が厚く、15年、20年と使った日本ブランドの家電を、今でも現役で大切に使っている人が多いように思う。願わくば、店子(たなこ)に使わせずに自分で使ってくれればなおいいのだが。同居している40代、30代の息子や娘の世代、あるいは孫の世代が、最新の製品を使いたがるということなのだろう。

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