─人材の重要性に言及されましたが、御社では技術者の離職率が低いと聞いています。人材の流動性が高い米国企業では珍しい存在です。

 技術者にとって何よりも大きなやりがいにつながるのは、エキサイティングな仕事を与えられることです。それも、上から命令されるのではなく、自らの想像力を発揮してその仕事に取り組めることが大切でしょう。弊社幹部の多くは元技術者であり、それを身に染みて理解していますから、技術者にとって心地よい環境をつくれているのかもしれません。

 エレクトロニクス企業が何よりも大切にすべきなのは、経営層が技術者への敬意を失わないことです。「我々にとって、皆さんは欠くことのできない最上級の人材だ」というメッセージを技術者に送り続けなければならない。そして、技術者にその一員であることに誇りを持ってもらうこと。経営層が責任を果たし、利潤を上げることがそのための必要条件です。

─今回、東日本大震災によって日本のエレクトロニクス業界は大きなダメージを受けました。日本に対する印象は変わりましたか。

 日本は、人材を含むさまざまな点でリソースの豊富な国であり、その見方は以前から変わっていません。わずか1億人強の人口でこれほど強い製造業を生み出し、技術やブランド力で世界のリーダーシップを握ってきたのは驚くべきことです。

 我々にとっての市場機会という観点でも、日本の魅力は失われていません。この国のエレクトロニクス産業が、今回の震災の影響を長く引きずることはないと確信しています。