そして、韓国などの新興国に従来のお株を取られたことを実感できた日本企業は、やっとこの方向に進み始めたようです。

 例えば電機業界で最近聞こえてくるのは、ソニーが医療分野を強化していくとか、シャープと台湾Hon Hai Precision Industry社や米Qualcomm社とのアライアンスの話題、パナソニックがディスプレイ用パネルを部品として供給するなどの報道です。しかしながら、それらの中心となっているのが、日本メーカーの得意とする技術主導型のB2Bビジネスの話が圧倒的に多いように感じます。

 もちろんこういった方向性も日本の強みを活かす重要なものなので、どんどん推進して頂きたいと思っています。ただ、B2CビジネスがうまくいかなくなったためにやむなくB2Bビジネスへの展開を急いでいる印象はやはり拭えません。

 B2Cビジネスについて「CES」などで話題になっていたのは、これまでより高精細の4Kテレビぐらいしか残念ながら印象に残っていないからです。これも消費者ニーズからの発想ではなく、メーカーの論理が見え隠れしています。

 技術力を基にしたB2Bビジネスへの進出やB2Cではこれまでの製品の性能アップに終始し、これまでにない新しいビジネスはなかなか出てこないというのが率直な印象です。 これからの新しいコンシューマー商品やサービスをどのように作っていくか。残念ながらこういった話題はなかなか今の日本からは出てきません。