例えば米Google社の検索サービスです。Google以前は、検索という概念やそれを実行してくれるサービスが通常の人びとが手軽に利用できるものではなく、またその結果も満足できるものではなかったでしょう。Googleが出てきて初めて人びとは検索を日常的に行うようになったといっても過言ではありません。

 しかし、一度この利便性を知ってしまうと、もう元に戻れなくなります。こういった商品やサービスは数多く存在します。エアコンのない生活、自動車のない生活、新幹線のない交通機関などなど、数え上げればきりがありません。

 3の環境開発は、そういった商品やサービスが現実のものとなるための環境を整えることです。検索サービスはインターネットやコンピュータが広く行きわたって初めて可能になったことに異論はないでしょう。

 4の認知開発は、いくらよい商品やサービスを作っても、それらが人びとに「よいものだ」と知られない限り広く利用されることはないでしょう。このためにたくさんの人びとにそのよさを知ってもらう作業が必要になります。

 日本企業は、この1、3、4のフェーズが、残念ながら不得手といわざるを得ません。「iPhone」に使われた技術は世界中広く知られた技術で、もちろん日本企業も持っていたものでしたが、それを最初に創り上げたのは米Apple社だったのです。

 これは正に1の問題開発のフェーズの問題でしょう。iPhoneを最初に見たときにある日本企業の幹部は、「こんなものはうちで作れる」といったという話がありますが、残念ながら実際にそれを作ったのは日本企業ではなかったのです。