設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 

第10回:グローバル生産を支援する工程検証(下)

鳥谷浩志=ラティス・テクノロジー代表取締役社長
2013/02/08 00:00
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三菱農機における工順の定義の見える化

 本連載第9回では「設計と生産技術部門のすり合わせをどう実現するか」をテーマに、軽量3Dフォーマット「XVL」を用いたデジタル・エンジニアリングの活用手法を紹介した。今回はその実例を紹介していきたい。まず、企画から生産までの開発リードタイム削減に向けて、XVLを利用し設計と生産準備を並行して進めることを目指している企業に三菱農機がある。その目指す姿は、図1にあるようにコンカレント・エンジニアリングの実践である。

図1●目指すべき業務フローの姿
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 三菱重工業グループに属する三菱農機は、トラクタやコンバインなどの農機具の設計と販売を手掛け、2012年1月からリョーノーファクトリー(本社島根県松江市)が生産事業を担当している。 同社がXVLによる工程設計を導入するきっかけとなったのは、少量多品種生産への対応。すなわち「どうすれば多様な製品を、売れるスピードで開発し、生産できるか」という課題解決のためだった。

 まず「売れるスピードで開発」するには、従来のように設計完了を待って生産準備作業を進めていたのでは組立工程を作り込む時間が足りない。XVL導入以前の同社では、設計の構成を生産の構成に組み替える作業も含め、頭の中で生産工程をイメージし、その結論を作業指示書にするやり方だった。これは熟練が必要な業務であり、設計途中段階で検討過程を第三者がレビューすることも不可能で、技術伝承にも課題があった。そこでXVL Studioを利用して製品の構成情報を表わす製品構成情報から組立手順を組み上げ、3Dモデルで組上状態を確認しながら、手順を決めることにしたのである(図2)。

図2●三菱農機における工程検討の手法の変遷
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 この方法なら、設計途中の段階でも大まかな部品形状だけで工程を仮設定したり、必要な治工具の検討を進めたりできる。XVLを導入したことで熟練社員の頭の中の工程検討プロセスが「見える化」され、その結果、設計者が事前に工程の概要をつかんで、設計に反映させられるようになったのである。同社で推進を担当する事業本部開発管理グループの河本雅史氏は、「今後の工程設計や作業指示書のあり方を変えていこう、というモチベーションにつながりました」と話す。工程設計の担当者からも「これは良い」「もう、今までのやり方は勘弁してくれ」といった声をよく聞くようになったという。 XVLは、同社において自然に工程設計担当者が手放せないツールとなり、「工程検討プロセスの見える化」も無理なく現場に定着していったのである。

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