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エディターズ・ノート

“追い出し部屋”とデータサイエンティストの意外な関係

  • 酒井 耕一=日経情報ストラテジー編集長
  • 2013/02/04 00:00
  • 1/1ページ

 アベノミクスで平均株価が上がり、円安で企業業績も回復――。安倍新政権の下で景気のいい話題が出る一方で、企業の現場はバラ色ばかりではなさそうだ。エンジニアやシステムプログラマー、営業職など専門職に就いていた中高年社員が人事異動となり、本社の一室に集められて慣れない仕事を与えられる。そんな“追い出し部屋”の実態も様々な形で伝えられている。

 リストラ目的の露骨な追い出し部屋は極端な例としても、新興国の追い上げや製品の価格下落などが進む中で、日本企業の収益向上には新しい経営モデルを築き、社員も新しい付加価値を生み出す仕事やスキルを身に付ける必要があることもこれまた事実だろう。将来性のある大市場と見込まれるのが「ビッグデータの活用による経営革新」。製造業からサービス業まで自社の膨大な情報資産を的確に分析して、売上高や利益の向上につなげるというものだ。この分析役として「データサイエンティスト」の仕事が急速に注目を高めている。

 データサイエンティストと聞くと、数学や物理などの専門家で難解な数式を解いて顧客動向や売り場の推移を分析して、解決案をレポートにまとめる。そんなイメージが沸く。確かにそうした経歴を持つデータサイエンティストも多い。しかし、一方で必ずしも専門性だけが必要条件ではないという。大阪ガスビジネスアナリシスセンターの河本薫所長によると、サイエンティストにも様々なタイプがあり「最も大切なのは情熱だ」と指摘する。

 信頼性と説得性のあるデータ作りはとても大切だが、それを営業や企画など受け取った社員が活用しなくては意味がない。大阪ガスの場合は、分析結果を修理スタッフの勤務シフト作りや修理の必要部品の発注予測など「現場が助かる」ように生かしている。あくまで仕事に生きてこその専門データというわけだ。

 ビッグデータという言葉は大量のアナリストと大型のデータベースやコンピュータが欠かせないという発想につながりがち。だが、主役はあくまで現場目線の人材なのだ。

 ネットイヤーグループの石黒社長は“はみ出しテクノロジスト”という表現を用いて、データサイエンティストの必要性をいち早く説いていた。日本企業にはデータと現場に詳しくユニークな発想で職場を変えられる人材が多いという。しかしこれまではそうした人材は従来の営業や企画という職域の枠には収まらないだけに「コンピュータおたく」とか「変わった発想」と埋もれている面があった。「データサイエンティストになれる専門家は当社にはいない」という企業幹部は多いが、いないのではなく、潜在力のある社員に気がついていない場合が多い。

 冒頭の追い出し部屋だが、無理な仕事を押し付けるのではなく、多くの社員からビッグデータ活用とデータサイエンティストのアイデアを募ってはどうか。日本企業に長く勤める人材なら多くが現場経験を持ち、パソコンやモバイルもうまく使えるだろう。そこに情熱が加われば、経営や現場を効率化する「人手とITの接点」が見えてくるはずだ。もちろん誰もがなれるということではないが、新しい職種だけに「エリート型」や「はみ出し型」など様々なサイエンティストタイプがあってでもいいのではないか。大型のコンピュータの使いこなしよりも、データを使う側の社員の気持ちがわかることが必要条件なのだ。

 日経情報ストラテジーは2月22日に「データサイエンティストが組織を強くする ビジネスアナリシス実践講座」を開催する。講師には大阪ガスの河本所長やネットイヤーグループの石黒社長らを迎える。ビッグデータ時代のデータサイエンティストについて、個人と組織のあり方から育成法まで徹底解説する。

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