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改革の原資としての在庫削減

吉田 勝=日経ものづくり
2013/01/31 09:00
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日本オイルポンプの工場内の在庫。これを一掃し、空いたスペースに新たな生産ラインなどを構築しようとしている。
日本オイルポンプの工場内の在庫。これを一掃し、空いたスペースに新たな生産ラインなどを構築しようとしている。
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 「この在庫の山を見ると腹が立ってしょうがない」---日本オイルポンプ代表取締役社長の中尾真人氏は、工場内を案内してくれながら何度もこう話していました。2012年末に取材に訪れた際のことです。同社は今、大胆な在庫削減に取り組んでいます。これまで2カ月分を抱えていた製品の仕掛かり在庫や部品在庫を、1/8の約1週間分にまで短縮しようというものです。今はまだ取り組みの途上にあり、工場内にはまだ大量の在庫が置かれていましたが、それを一掃するのが目標です。

 取り組みの眼目の1つが、日系メーカーの中国工場から調達していたポンプ用モータを自社工場での内製化に切り替えるというもの。これまでは、モータを発注してからそれが社内のポンプ組立ラインへ投入されるまで約4カ月もかかっており、このリードタイムの長さが在庫削減のネックとなっていました。これを内製化すれば、モータ部品の発注から組立ライン投入までを1週間に短縮できます。これによって、需要に即応した機動的な生産を実現し、納期短縮と在庫圧縮を図ろうとしているのです(詳しくは2013年2月号の特集3「もう安くない中国生産・調達 国内生産・内製化に活路あり」をご覧ください)。

 ただし、モータの内製化だけで在庫が1/8になったり、短納期が実現できたりするわけではありません。上記記事では書き切れなかったのですが、社内生産していたポンプのロータやシャフト、ポンプ本体の鋳物部品の素材調達・加工リードタイムの短縮も図っています。例えば、ロータやシャフトは部材調達から加工を経て組立ライン投入までのリードタイムが30日以上、場合によっては2カ月にも及んでいました。例えば、シャフトは100種類以上もあるにもかかわらず、加工の段取り替えに時間がかかることから1日に2種類程度しか造れませんでした。このため、多くの在庫を抱えることで顧客の急な要望に対応していました。そこで、今、段取り替えの方法を見直すなどして、生産量を落とすことなく1日10種類程度を造れるよう製造プロセス改革に取り組んでいるのです。

 前述のポンプの内製化は、こうした製造プロセス改革の成果として得られた空きスペースや人員リソースを活用して実現しています。「リードタイム短縮で工場内に空きスペースが増えれば、それを使って新しい内製化ラインを作るなどの改革が可能になる」(中尾氏)。それによってさらに在庫が減れば、また次の改革のリソースが生まれます。つまり、在庫削減が次の改革の原資となっているのです。

 中尾氏が大幅な納期短縮と在庫削減を掲げた当初は、現場のスタッフや作業者らも本当にそんなことができるのか半信半疑だったといいます。しかし、在庫削減とリードタイム短縮が現実的なものとなり、モータの内製化も始まりました。「今では現場も新しいことに挑戦できることに喜びと期待を持って取り組んでくれている」(中尾氏)。達成感が次の取り組みへのモチベーションを生みだし、改革が回り出しています。

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