2012年9月21日に米Apple社が発売した「iPhone 5」について、これまでのレポ-トで「注目点が供給側のボトルネックから需要面に移ってきた」と述べ、2013年1Q(第1四半期)の生産調整について指摘した(関連記事1関連記事2)。この販売状況自体はまずまずと見られるが、当初の想定を下回っているものとみられる。加えて、主要部品は過剰気味の発注が続いてきたことから、両者間のギャップが拡大、2013年1Qの部品発注調整、完成品の生産調整が想定より大きくなりそうである。

 2012年4Qに関しては、ディスプレイをはじめとする部品ベ-スで4500万~5000万、製品で4000万 程度の生産出荷であったとみている。一貫して当初計画数量を下回っており、当初計画を前提に既に大量生産・出荷を行っているコモディティ系の電子部品にとっては、次の2013年1QにおけるQOQ(対前四半期)での増産(4500万~5000万以上)が、予期せぬ生産調整を回避するための条件と考えていた。しかしながら、足元のバリュ-・チェ-ンの動きからは、1Qの生産出荷は部品ベ-スで3500万から3000万以下へ、製品生産は2500万以下にまで修正されそうな状況である。

 2Qについても、現時点ではQOQで横ばい程度とみられ、力強い回復は想定しにくい。いろいろな憶測が飛んでいる次機種(「iPhone 5S」)や、新興国向けロ-エンド機種についても、まだ具体的な動きに乏しく、織り込むにはまだ早そうである。「iPhone 5S」については、現行機種と類似したスペックを当社では想定しており、製品投入による関連部品需要の急増は見込みにくいとみている。