しかし、しか~し、何しろ相対論を数式で解説しようというのだ。それ相応に難しい内容であることは覚悟しなければならない。
登山道というものは、最初はなだらかだがで、やがて坂道がきつくなっていくものだ。本書も同じように、徐々に内容が難しくなっていく。やがてどこかで、「分かる」ことを諦めなければならない地点がやってくることを予感させる。
ただ、ありがたいことに、私たちは読者であって「著者」ではない。著者は自分が展開している理論の結論を見すえながら、途中過程も一つひとつ説明したり証明したりしなければならない。しかし、読者は証明過程が難しくなっても、各章の結論部分を受け入れていけば、先へ進むことはできる。
理解度の差はあれ、読み通すことで、頂上に立つこともできるのだ。
さて、これから登山をはじめる前にお知らせしておきたいことがある。それは、リリアンの相対論説明には、急な坂道が2箇所ある、ということだ。