稼働率とパネル価格が調整局面の長さ、深さを見る上での鍵

 LG Display社の2013年度1Qガイダンスでは、出荷面積はQOQで15%程度の減少と通常の季節性を超える減少幅となっている。今回の調整の主因は、テレビが「季節性+主に中国ブランドの在庫調整」、NBとモニターが「季節性+想定以上の実需の落ち込み」、中小型が「Apple社(iPhone5、iPad)向けの在庫調整および米Amazon.com社(Kindle Fire)の在庫調整」であり、全面的かつ複合的な調整局面となっている。LG Display社は「稼働調整を行う」と述べているものの、調整を行うのは在庫を抱えていると見られるiPhone5向けおよびiPad向けと見られ、その他の製品に関しては大規模な生産調整の兆しは見られない。

 2012年度4Q末の在庫水準が低いこと、2013年度下期の大型パネル需給逼迫を想定していることから、恐らく、極力高い稼働率を維持する戦略を採るものと見られる。技術面で優位性を持ち、コスト競争力が高く、顧客層も厚い同社にとっては、合理的な戦略と考えられる。ただし、主要パネルメーカーの大半が同じ戦略を採った場合、これから2013年6月に向けて在庫水準が上がる可能性が高い。そして、繁忙期の同年度3Qに需給が逼迫せず、むしろ緩和、悪化するリスクが浮上する。これから決算を発表する同業他社が、どの程度の在庫を抱え、どの程度の稼働調整を行う意思があるか、確認していきたい。