AUOやInnoluxに比べて改善度合いが大きい可能性が高い

 このように、LG Display社の2012年度4Q実績は、売上高、利益ともにドイツ銀行の予想を上回った。ハイエンド製品の売り上げ比率の上昇はコストの上昇も伴うものの、売上高の上振れに伴い収益性も改善し、営業利益率は10四半期振りに6.7%に達した。

 利益面では、QOQで15%の増収にもかかわらず、同4Qの売上高総利益率は12.7%とQOQで2.2ポイントの改善に留まった。売上高はタブレットPC向けがQOQで31%増、携帯電話その他向けが同79%増と突出して伸びているが、牽引役は「iPhone5」や「iPad Mini」などの米Apple社製品と考えられる。増収の割に利益が伸びなかったのはiPhone5などのスマートフォンの新製品向けや、新型iMac向けなどハイエンド製品の歩留まりが低かったことが一因であろう。

 同4Qの営業損益は5870億ウォン、同営業利益率は6.7%と営業利益率は2010年度2Q以来の5%超え。一方、EBITDAマージンは19.6%から20.7%へと改善し、2010年度2Qの22.2%に次ぐ水準に回復した。これから決算を発表する台湾AU Optronics社(AUO)、台湾Innolux社〔群創光電、Chimei Innolux社(奇美電子、略称CMI)から社名変更〕などと比べて改善度合いが大きい可能性が高い。

* EBITDAマージン EBITDAとは、Earnings before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの略で、税引前利益、特別損益、支払利息、および減価償却費を足し合わせたもの。EBITDAマージンは、そのEBITDAを売上高で割った値。

 キャッシュフローについては、減価償却費が1兆2270億ウォン、営業キャッシュフローが8840億ウォンの黒字、投資キャッシュフローが-6030億ウォン、フリーキャッシュフローが2810億ウォンの黒字だった。