設計途中から板金に

 一方、「SolidWorks」(米Dassault Systemes SolidWorks社)での板金部品設計機能は、通常のモデリング機能との組み合わせが特徴だ。これにより、板金設計作業において「2通りのアプローチが可能」(ソリッドワークス・ジャパン)という。最初から板金部品専用コマンドを用いる方法と、最初は通常のコマンドでモデリングを始め、途中で板金部品モデルに変換する方法である(図4*2

図4●SolidWorksでの2つのアプローチ
図4●SolidWorksでの2つのアプローチ
最初から板金部品としてモデリングする方法の他、途中まで通常モデルとしてモデリングを進める方法がある。後者は製作方法を後で決めるような場合に向く。
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*2 SolidWorksの板金部品モデルは、常に板金部品として展開可能な状態になる。

 前者は、最初から板金で造ることが決まっているときに向く。常に板金部品として矛盾のないデータになるため、完成時にそのまま平面展開し、CAMに渡すことができる。

 後者は、板厚一定の薄肉形状を通常のモデリング機能で作成し、ある時点で板金部品モデルに変換する指示を与えるアプローチ。板金部品モデルに変換した後は、通常は板金部品設計専用のコマンドを用いてモデリングを続ける。射出成形など、部品の製法を板金以外に切り換える可能性が残っている場合、空間の取り合いの検討をまず進める場合などに向く。検討の途中段階で、一時的に板金部品としてはあり得ない形状(例えば異なった板厚がある状態)を経由しても、エラーにならずに作業を進められる。ただし、そのような形状のまま板金部品への変換を指示するとエラーになる。

 SolidWorksのアセンブリデータでは、板金部品モデルと通常のモデルデータ、つまり切削部品などを混在できる。さらに、さまざまな部品が混在した状況でコストを見積もる機能がある。フィーチャによって加工内容を抽出し、単価テーブルを当てはめる方式でのコスト見積もり機能を、板金部品モデルに加えて切削加工品、旋削加工品にも適用可能である。材料の調達場所と加工場所の輸送で生ずる二酸化炭素排出量など、環境負荷を見積もるSolidWorks本体の機能も、この板金を含む混在アセンブリに適用できる。

 SolidWorksに組み込んで動作するアプリケーションに「SheetWorks for Design」「同 for Unfold」(アマダ)がある。SheetWorks for designは、SolidWorksよりもさらに細かい板金部品の形状を作成する機能がある。例えば、板金同士を突き合わせる際の位置合わせのため、一方に突起、他方に凹みを設ける機能などだ。曲げの近くに穴があるなど、意図しない変形が起きやすいことを指摘する機能もある。同Unfoldは、材質による板金の伸びなどの情報から、高精度に展開し、さらにアマダ製工作機械向けの加工データを作成できる。