では、工順定義の手法を具体的に説明しよう。3D-CADから変換されたXVLには、製品構成と各部品形状が含まれている。これを利用して、各部品をどのような手順で組み上げていくか定義することを「工順の定義」と呼ぶが、その定義の方法は大きく2つに分けられる。部品名称などのテキスト情報を編集して定義していく方法と、DMUツールを利用し3Dモデルを参照しながら定義する方法だ。

 DMUツールのXVL Studioでは、テキストベースの工順があればCSV形式で読み込めるし、システム内で3Dモデルを参照しながら工順を定義していくことも可能だ。システム内で定義する場合、前もって工程を定義しておき、そこで対象となる部品の3Dモデルを確認しながらそれぞれを工程に紐付ける作業を行う。図3のように、工程と部品との紐付けは、部品名称が分かっている場合は製品の構成ツリーから指示してもよいし、そうでなければ3Dモデルを指定してもよい。もちろん製品形状、構成情報、工順は全て1つのXVLに格納できる。

図3●見える化された工順の定義方法(XVL Studio Standardの画面)
図3●見える化された工順の定義方法(XVL Studio Standardの画面)
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 ここで重要なポイントは、工程設計が「見える化」されることと、設計された工順を簡単に再現できることの2点だ。最近は日本で工程を設計し海外で生産するケースも多い。この場合、設計部門と生産技術部門が国境を越えて協調する必要が出てくる。このような国境を越えたコラボレーションを実現する上で重要となるのは、「シンプルでなければならない」という点だ。

 工順を定義したXVLがあれば、工程をクリックするだけで対応する作業状態を再現できる。たとえ言語が違っても、見れば誰でも分かるのだ(図4)。さらに、軽量なXVLをネットワークで転送すれば、現地工場で現地作業員が工順を確認することも簡単だ。やがて工順定義そのものを海外で行う時代になっても、見える化された工順定義作業であれば、現地拠点も受け入れやすいだろう。

図4●工程ごとの作業終了後のイメージを3Dで確認(XVL Studio Standardの画面)
図4●工程ごとの作業終了後のイメージを3Dで確認(XVL Studio Standardの画面)
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