こうしたことから、ラティス・テクノロジーは既存DMUの機能のうちビジュアリゼーションだけを提供することにした。XVLの超軽量性という特徴を生かして大規模データを「サクサク」表示させ、最終的な判断は人間に任せようという考え方「Light DMU」を提案している。

 大ざっぱに言って、既存DMUの全機能の80%がビジュアリゼーションであり、残る20%がシミュレーションであろう。そこでLight DMUでは、20%のシミュレーションを削ぎ落とし、80%のビジュアリゼーションの機能を既存DMUの20%の価格で提供する。このLight DMUにより、既存DMUのほとんどの作業を行うことが可能なのである。

 また、既存DMUが持つデータの巨大性、システムの難解性、高価格という課題は、3Dモデルの流通を妨げるという別の問題を引き起こす。難解かつ高価なDMUツールは設計部門、生産技術部門以外の関連部署まで広くは導入できないため、DMUによる検証レポートや工程検証の結果できる作業指示書の配布には、静止画データとしてExcelなどにイメージデータを貼付したものなどを使うことになる。設計の3Dモデルが既存DMUの壁にせき止められて、下流へ流れなくなる図2。せっかくの貴重な3Dモデルを、ものづくりITで目指す部門間のコラボレーションに生かせなくなってしまう。

図2●既存DMUが後工程へのデータの流れを止める
図2●既存DMUが後工程へのデータの流れを止める
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