XVL Studioの5種類の活用法

 設計と生産の間にある生産技術部門が3Dモデル流通を促進することで、全社にものづくり情報を流通させ、QCDを改善するものづくりITを実現できる。ラティス・テクノロジーは、Light DMUと軽量XVLで後工程にデータを流すことで、前項で挙げたような課題をすべて解決しようと考えた。そのために開発したのがLight DMUツールの「XVL Studio」というソフトウェアである。

 このXVL Studio は[1]工順定義の見える化、[2]新製品立ち上げのための早期の工程検証、[3]工程確定に向けた詳細な検証、[4]サービスのための保守性や分解性の検証、[5]分業による工程設計、といった5種類の活用が可能だ。以下、それぞれの活用手法を説明する。

[1]工順定義の見える化

 ある会社の生産技術担当者から「作業工程の決定方法には聖域がある」と聞いたことがある。実際、その会社では熟練者がカンに従いコツを生かして組立手順を決めると、なぜか製品が滞りなく出来上がることが多かった。なぜ熟練者がそう考えたのか、なぜそれでできるのか、普通の人には直感的には分からない。

 しかし、そんな熟練者の作業をつぶさに観察してみると、実は熟練者も迷っていることが分かる。その作業手法が最高に効率的なのかどうか、熟練者ですら判断できない場合があったのだ。

 この問題を解決するには、作業内容を整理し手順を検証していくことで、効率の良い標準作業工程を定義する必要がある。このことが、その会社にとって「XVLを利用した工順定義」を導入するきっかけとなった。

 実際にXVLを導入し工順を定義してみると、製品形状や言葉だけでは伝わらない、いわば「ストーリー」が伝わるようになったという。工順に対応した図を示すことは、製品組み立てのストーリーを提示することになるのである。そして、このストーリーの提示により、現場の知恵が生まれ、問題点の真因を突き止められるようになったのだという。