――今回協力するプロセスで新たに取材した内容も含めて、『メイドインジャパン 驕りの代償』(NHK出版)という書籍を出されたそうですが、こちらはどのような内容をまとめたものでしょうか。

 1995年に経済記者としてトヨタ自動車の取材を始めて以来、名古屋、東京、大阪に勤務して、日産やパナソニックやシャープなどの製造業を担当してきました。17年間の蓄積に加えて、今回のNHKへの協力当たって改めて取材したことを融合させて書いたノンフィクションです。ドラマの原作や原案ではありませんが、ドラマの制作に協力したご縁で誕生した書籍でありますので、表紙の帯には「テレビ60年記念ドラマ『メイドインジャパン』の原点がここに――」と謳われています。

 大げさな言い方をすれば、これまでの取材の集大成のつもりです。もちろん今後も取材は続けます。

 本の内容は、パナソニックやシャープの経営危機の本質的な理由は何かについての見解を述べました。ここまで業績が落ち込んだ背景には、経営者の油断や驕りがあったと言わざるを得ず、タイトルに「驕りの代償」と入ったのです。

 日産再生の教訓は何かについても取り上げています。さらにリーマンショック以降、かつての力を失ったトヨタの栄枯盛衰についても考えました。「エンジニア流出」というテーマで韓国や中国企業に転職した技術者の本音と実態についても書きました。そして最後に、「メイドインジャパン」はどうしたら復活できるのかについても自分なりの考えをまとめたつもりです。また、所々にこれまであまり明かしていない取材秘話なども盛り込んでいます。

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記事掲載当初、2ページ目の本文3行目(質問含む)で「総花的に伝えたつもりです」としていましたが、正しくは「総合的に伝えたつもりです」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。