24年ぶりの新社長として2012年6月にアルプス電気のトップに就任した栗山年弘氏。HDD向け磁気ヘッドの開発などを主導してきた同氏は「バーチャルな専業メーカーを目指す」と意気込む。中国・台湾勢に押される中、日本の老舗部品メーカーの活路は。同氏が考える戦略と将来像を掲載する。(聞き手は久米 秀尚)
─消費者のニーズは刻一刻と変化している。どのような対応策を考えているのか。
2012年4月に、全社の組織を再編した。具体的には、技術、生産、営業と機能で分けた。これは、市場を固定しない、というメッセージだ。「この技術はどこに適用したら一番伸びるのか」を考え、臨機応変にできるようにする狙いがある。
言い換えると、“バーチャルな専業メーカー”を目指すということだ。「総合メーカー」と「専業メーカー」を比較すると、やはり専業メーカーが強い。総合メーカーはいい面もあるが、個別の戦いで専業メーカーに敗れることが増えている。
そうはいっても、我々は「総合部品メーカー」の看板を下ろしたわけではない。総合メーカーの中でも、いかに専業メーカーと戦うか、が求められている。そのカギを握るのが、組織だと考えた。例えば、「今狙うのはスマートフォンだ!」となったときにすぐにリソースを割けるか。「クルマだ!」となったときにはモジュール開発に長けた技術者を集めて一気に開発するようにできるか。リソースを一つの事業部の中で、スピード感を持って臨機応変に再配置できるようにしなければならない。