─やはり、成長市場であるスマートフォンに注力しているのか。

 今、売り上げの半分が民生機器で、残りの半分が車載機器である。エネルギーやヘルスケアといった新しい市場に向けた部品にも取り組んでいるが、まだ5%程度と割合は小さい。

 民生機器の中身は、ここ数年で大きく中身が変わった。テレビやパソコン、ゲーム機、デジタル・カメラなどは多くの機能をスマートフォンに取り込まれている。スマートフォンがほとんどの機能を持ってしまい、他の機器はコモディティー化してしまって伸びない。つまり、スマートフォンだけが一人で伸びている状況だ。このため、我々も民生機器と言っているが、このうち半分ほどがスマートフォンやタブレット端末などのデバイスになってくるとみている。

 だが、スマートフォン向けの部品は競争が激化している。特に、組み立て部品(モジュール)は中国や台湾のODM/EMSメーカーが強い。かつて日本の部品メーカーが強かった領域だが、今はモジュールへの組み立ては、中国・台湾メーカーが担うようになっている。モジュールは、寸法を測ってしまえば容易に模倣されてしまうことも大きな要因だろう。

 では我々はどうするか。スマートフォン分野で注力しているのは、部品/コンポーネントである。高性能のコンポーネントを提供することに軸足を移した。部品単体なら、精度や質感、不良率の低さなど技術力の強みを発揮できる。

 だが、もちろんモジュール事業を捨てるわけではない。車載部品の分野ではモジュールに注力する。自動車はまだブランド力が生きる分野だ。自動車メーカー各社に設計・デザイン思想があり、部品メーカーも各自動車メーカーの考えを聞きながらカスタムでモジュールを仕上げていくことになる。我々はミッドレンジからハイエンドの自動車を中心に、積極的にモジュールを提供していく。