─技術開発の面で意識している領域は。

 2008年の「リーマン・ショック」以前はさまざまな開発テーマに取り組んだり、欧米のベンチャー企業に投資したりしたが、正直うまくいかなかった。リーマン・ショック後は売上高が3/4まで落ち込んだため、やむを得ず開発費を抑制した。

 だが、今後は売上高の回復を目指して新製品を積極的に投入していく方針だ。この中で、我々は“操作・入力”と“通信”、“センサ”の三つをコア領域と位置付ける。例えば、スマートフォンでは、操作・入力であるスイッチとタッチ・パネルは大きく伸びることを期待している。

 通信に関しては、携帯電話機向けの無線通信モジュールは米国を中心とする海外企業が市場を握っている。だが、自動車は無線LANやBluetoothなどの搭載が進んでコネクティビティのニーズが高まっている。この車載向けの通信モジュールでは、我々は世界市場で圧倒的なシェア1位になっている。ここをしっかり伸ばす。

 今後の技術開発に関して私は、最近よく「染み出し」と「ゲリラ」という言葉を使っている。先ほど述べた三つのコア領域をはっきりと意識する。我々のコア領域は何なのか。そこから大きく離れてしまうと強みを十分に発揮できない。