─売り上げ目標について聞く。既に東芝モバイルディスプレイが石川県に新工場を建設中であり、さらにはパナソニック液晶ディスプレイの茂原工場を買収する。2015年度の売上高目標を、2011年度(推定値)の1.3倍となる7500億円としているのは、消極的すぎると感じる。

 指摘の通りだ。私も控え目すぎる目標だと感じている。中小型ディスプレイの市場が年率20%以上で伸びると予測されることを考えると、価格の下落を考慮しても、どう計算しても合わないだろう。

 ジャパンディスプレイが本当に中小型ディスプレイ分野でリーディング・カンパニーになるためには、30%近い市場シェアを獲得する必要がある。それに応じた売り上げ規模を達成するつもりだ。

インタビューを終えて

 「老後は余生を過ごそうと、福岡県に家を建てたけど」…。大塚氏は、ジャパンディスプレイ代表取締役社長への就任を決断して以降、統合する3社の幹部やユーザー企業との打ち合わせなどで、出張続きの日々とのこと。福岡の新居に帰れないことも多いようです。取材の最後に、「ジャパンディスプレイがどういう企業になれば、福岡で落ち着けますか?」と尋ねました。すると、「良い質問だね」と笑った後、「組織が本当に統合され、違和感なく意思決定が進むこと。ビジネス面では、30%近い市場シェアを維持し、利益を出し続けられること」と、真剣な表情で回答が返ってきました。この目標を聞く限り、少なくとも数年間は挑戦の日々を覚悟しているようです。(佐伯)