ドイツ銀行グループ(以下、当社)は、2012年における液晶テレビの需要(セルインベース)を、従来、2億1000万台と予測していた。しかし、ネガティブ要因がポジティブ要因を上回り、この予想に対して更なる下ぶれの可能性が高まっていると判断し、予想を2億800万台(対前年比(YOY)で+1%)に引き下げる。地域別では、日本と新興国を引き下げた。

12年4QのTFT生産稼働率は若干の上方修正

 2012年11月におけるTFTパネル生産の当社推定稼働率(G5以上、面積ベース、分母はその月に投入可能な最大生産能力)は86%(韓国89%、台湾84%、日本86%、中国88%)であり、10月の86%からほぼ横ばいだった。3Q(第3四半期)の平均稼働率は86%、投入面積は対前四半期比(QOQ)で+10%であったと見られる。

 4Qの予想では、さらに若干の上方修正を加えた。4Qの稼働率は86%とした。QOQで+2%→+3%に上方修正したことになる。12年の供給側の投入面積成長率はYOYで+12.5%→12.6%にした。

 パネル需要はTVセット・ブランドの購買姿勢の転換(許容在庫水準を若干戻す)により前月に+12%に引き上げたが、これは変更なしである。12月はAUOが一部工場において電気系統のトラブル(電圧低下)により稼働低下を余儀なくされると見ているが、他社が増産していることもあり、全体的な供給に与える影響は限定的と見ている。

 2013年の需要予想はYOYで+7%(絶対水準に大きな変動はなく、比較基準の12年を上方修正した分だけ、YOYの伸びを修正した)、供給予想はYOYで+12%と据え置いた。13年の生産能力はYOYで+4%とみており、生産能力が需要の伸びを下回り、稼働率上昇を見込む点に変わりはない。ただし、当社予想需要が正しいと仮定すると、生産の伸びはやや高いとの印象を持つ。