大型パネルの出荷数量でAUO上回るCMI

 世界最大の電子機器受託生産(EMS)企業である台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn〕グループに属し、TFTパネルの生産とモニター/TVの組み立ての両方を手掛ける台湾Innolux Display社(群創)は、2010年3月18日に台湾CMO社(奇美電子)と合併し、台湾ChiMei Innolux社(存続会社は群創だが社名は奇美電子)となった(略称はCMI)。しかし、筆頭株主の奇美グループが第2位株主の鴻海グループに実質的に経営権を引き渡したことから、同社社名は再びInnolux Display社(群創電子)となる予定だ。

 CMIの2012年11月の連結売上高は432億7700万NTドル(YOYで0.3%減、MOMで3.0%増)。同11月の大型パネル(10インチ以上)の出荷数量は1280万枚(YOYで5.6%、MOMで3.5%増)だった。同1~11月の累計出荷量はYOYで5%増。同1~11月の累計連結売上高はYOYで4%減となった。

 同11月の中小型パネルの出荷数量は3780万枚(YOYで5.5%増、MOMで3.1%減)、同1~11月の累計中小型パネル出荷量はYOYで4%減。

 CMIの稼働率は2012年3Qから再び上昇が続いている。G5以上のラインの全体稼働率は9割に達しようとする水準に上がってきた。稼働率が最も低かった「Fab8」と呼ばれるG8ライン(実質生産能力は5万枚/月)も、2012年明けから2万枚/月、3月には3万枚/月を超え、5月以降は3万5000枚/月前後で推移してきたが、7月には4万枚/月を超えた後は、11月に若干調整が入ったものの、12月は4万枚/月を大きく超える勢いでの投入が続いている。既存製品の需要増に加え、12月から41.5インチと23.6インチの両パネルのハイブリッド生産を開始したことが稼働率の上昇につながっていると見られる。12月の41.5インチパネルの生産量は10万枚/月を大きく超えると見られる。

 また、採算が悪い32インチパネルの比率を落とし39インチパネルの増産を続けるG6ラインも、稼働率は9割を超える状態が続いている。一方、生産品目に現在の主力製品がないG5.5ラインの「Fab4」に関しては、7割程度と相対的に低稼働率を余儀なくされてきたが、こちらも29インチや58インチなどの新サイズを投入することで稼働率が上昇、9月以降は8割台の稼働率を維持、足元では9割に達してきた。

 NB向けのパネルや中小型パネルを生産するG5ラインはほとんどが稼働率8割弱で、足元は若干弱含みである。同社は元々NB向けのシェアが15%弱とAUOの24%と比べて低く、タブレット向けも米Apple社に食い込めておらず、White Box(メーカー製ではなく販売店製のパソコン)向けが中心となっているためか、G5ラインの生産は相対的に低調である。